第1話(5)

エピソード文字数 1,676文字

 別の話題で攻めるぞ作戦、スタート。早速、別の話題で攻めてみます。

「ほら、キミはトップに君臨する人でしょ? 何日も城を空けてたら、勇者に攻め落とされちゃうよ?」
「んーん、そーはならないの。大昔に、全部の勢力(せーりょく)さんと『仲良し同盟』――和平(わへー)を結んでそーゆー争いは起きないし、今の勇者(ゆーしゃ)さんはあたしの幼馴染さんだからー」

 マジか。仲良し状態になってて、しかもマブに勇者の力が宿ってんのかよ。

「け、けどさ、他の勢力にも同レベルの実力者はいるでしょ? プリーストとか狩人とか」
「大昔に一致団結して世界を救った英雄(えーゆー)さんの力を宿した人が、あたしも含めて27人いてね、伝説のプリーストさんとか伝説の狩人さんがいるよー。それがどしたの?」
「だったら他の勢力が、協定を破る可能性は無きにしも非ずじゃん。余所の連中は、悪巧みをしてるかもですぞ?」

 裏切りは、この世の常。安心してたら危ないって。

「あのねゆーせー君、それもないんだよー。英雄(えーゆー)の力は、ぜーんぶ親友(しんゆー)さんに宿ってるからっ」
「すっげーなそれ!! この話題、これ以上攻めらんねーよ!!

 もうお手上げ。そっちの日本、世間は狭すぎだろ。

「ねっ、安心っ。異世界人さんの侵略対策はあるんだけど、あたしひとりくらいなら抜けてもいーんだよーっ」
「……そ~かなぁ? 1人の差は、大きいと思うがなぁ」

 新たな攻撃場所を発見。今度はここを狙おう。

「例えばサッカーだと、10人になるとすごく不利でしょ? 影響はおっきいよ?」
「確かにおっきーけど、みんながいたら負けないよー。だってあたしたちは全員(ぜーいん)、春にあったイベントで優勝(ゆーしょー)してるもーん」
「はるの、イベント? なにそれ?」
「にゅむん。『全次元最強決定戦(ぜんじげんさいきょうけっていせん)』、だよー」

 にゅむん? ぜんじげん、さいきょうけっていせん?

「レミア。説明してください」
「にゅむ。これは、いくつも部門があってねーっ。魔王(まおー)部門なら全次元の魔王さんが集結(しゅーけつ)して、戦ってナンバー1を決めるのー」

 …………。…………。

「えーと、つまりだ。キミは、全魔王の中で最強なんですか?」
「そーだよっ。あたしもお友達も、みーんな全試合KO(ぜんしあいけーおー)勝利(しょーり)したよー」

 勇者の中の勇者とかが27人いて、結束力もある。こりゃ誰にも落とせんわ。

「ねーっ。これなら怖くないでしょー?」
「そう、だな。そう、だね……」

 万策尽きた。ので、こうなったら已むを得ん。遠回しに、母の件を打ち明けよう。

「………………あの、ね。レミアさんや」
「にゅむ?」
「キミがいると俺の母親はキミと結婚させようとして、息子に恋心が芽生える催眠術をかけるの。そしたら完璧に精神がおかしくなっちゃうんで、帰って頂きたいんだよ」
「にゅむむ? どーしてあたしがいたら、結婚させよーとするの?」

 レミアちゃんは、キョトンとする。
 ええ、そうですよね。そう思いますよね。女の子がいたら結婚を画策、なんて普通はなりませんよね。

「まあそれは色々ありまして、とにかく、全力で息子の心を狂わそうとしてくるんだ。んでそうなったら絶対に解けることはないので、ご協力願いたいんだよ」
「にゅむむむむ……。よくわかんないけど、あたしがいると心がヘンテコになっちゃうんだね……」
「そうなんだよ。催眠術をかけられたら終わりなんで、契約を解除して帰ってくれませんか?」
「…………ゆーせー君が困っちゃうなら、そーするよー。心がヘンテコになっちゃうのは、怖いもん――にゅむ?」

 突如魔王様が、斜め上を向いた。
 にゅむ? どーしたにゅむ?

「そーいえば……。あれには、あの力があったよねー……?」
「んっ? なに?」
「にゅむむっ。ゆーせー君っ、それならご心配要らないよー!」

 なんだって!? 魔王、何を閃いたんだっ!?
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登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

リリウ 神様


願いを聞き間違えて、優星を魔王使いにしてしまった神様。

神様の世界で流行しているゲームに夢中で、神様のお仕事はほとんどしない。

とってもダメな、神様(?)な神様。

麗平活美 16歳の少女


ストロベリーブロンドのドリルヘアーが特徴の、優星のクラスメイト。

お嬢様然とした容姿で気品があるように見えるが、非常に活発。実は……。

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