4-4 美少女転入生

文字数 1,121文字

 (はるか)蕾生(らいお)に急転直下の出来事が起きた。

 

 一年生の校舎中がどよめいていた。その騒ぎの原因はどうも星弥(せいや)のクラスから発生しているらしい。

 (はるか)蕾生(らいお)のクラスメート達が入れ替わり立ち替わりで隣のクラスを見に行っている。

 

 二人は最初は静観していたが、教室に帰ってきたクラスメートの会話から星弥(せいや)の名前が聞こえてきたので、とうとう廊下に出ることにした。

 そこに集まった大勢の視線は星弥(せいや)とその隣で俯きながら居心地悪そうに歩く黒髪の少女へと注がれている。

 ──
 ──
 (はるか)蕾生(らいお)もその姿を見て言葉を失った。星弥(せいや)の隣を歩いていくのは間違いなく制服を着た鈴心(すずね)だった。
 放課後、クラブで
(コクコク)
 ──
 ラ、ラララ、ララララ
 落ち着け、(はるか)
 ふー、ふー!──え、何?何がどうなってんの?
 全然わかんね……
 放課後。コレタマ部。
 という訳で、転入生の御堂(みどう)鈴心(すずね)ちゃんです!
 ……
 ちょっとライくん、ほっぺつねってよ


 僕は都合の良過ぎる夢を見てるんだ

 ──夢じゃねえけど、お望みなら
 ──ひててて!
 ライ、やめなさい!
 やっぱりリンがいるうー、なんでー?なんでー?
 周防(すおう)くんがショックのあまりバカになっちゃった……
 おい、銀騎(しらき)、どう言う事だ
 うん、わたしもよくわかんないんだけど──
 数日前……
 ただいまあ
 おかえり、星弥(せいや)!こっちこっち!
 お母様?どうかしたの?
 促されるまま応接室に入ると、部屋の中央で鈴心(すずね)星弥(せいや)が着ているものと同じ服を着させられて立っていた。

 傍らでは銀騎(しらき)家お抱えのテイラーがまち針を巧みに操って鈴心(すずね)の着ている制服を調整している。

 ──
 ねえ?可愛いでしょ?
 ……
 あ、う……、な、何事?
 すぅちゃんがね、高校に通うことになったのよ


 あなたと同じ一年生で!

 え!?だってすずちゃんはまだ中学生でしょ?
 ──中学の過程はとっくに終えてるからね
 兄さん!
 うん、鈴心(すずね)、よく似合ってるよ
 どうも……
 兄さん、どういうこと?
 うん、ここ最近、僕の研究が忙しくて鈴心(すずね)にろくに教えてあげられていないからね


 最近は体調も安定してるし、学校に行かせたらどうかとお祖父様がね

 お、お祖父様が!?
 とは言え、たった一人で中学校へ行かせて体調を崩したら大変だから、星弥(せいや)と同じ高校に編入手続きをとったんだよ。飛び級の帰国子女ってことにしてね
 ──
 だから星弥(せいや)、よろしく頼んだよ?
 星弥(せいや)、私からもお願いね
(ええー……)
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登場人物紹介

唯 蕾生(ただ らいお)


15歳。男子高校生

怪力なのが悩みの種

九百年前の武将、英治親の郎党・雷郷の転生した姿


周防 永(すおう はるか)


15歳。男子高校生

蕾生の幼馴染

九百年前の武将・英治親の転生した姿


御堂 鈴心(みどう すずね)


13歳。銀騎家に居候している少女

英治親の郎党・リンの転生した姿

永と蕾生には非協力

銀騎 星弥(しらき せいや)


16歳。高校一年生

銀騎詮充郎の孫で、銀騎皓矢の妹

鈴心を実の妹のように可愛がっている

永と蕾生に協力して鈴心を仲間に入れようとする


銀騎 皓矢(しらき こうや)


28歳。銀騎研究所副所長

詮充郎の孫

銀騎 詮充郎(しらき せんじゅうろう)


74歳。銀騎研究所所長

およそ30年前、長らく未確認生物と思われていたツチノコを発見、その生態を研究し、新種生物として登録することに成功した


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