一般小説作品詳細

紫蘭の花咲く頃

15|ミステリー|完結|32話|143,190文字

ミステリ, 本格, 青春小説, 人間消失

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〈こうして私は、まさしくレクイエムを奏でるように、時を止めたあの島の、或る一年の真実を知るべく取材を始めたのだった。それはガルシア=マルケスが『予告された殺人の記録』において用いたやり方――、丹念に、時間をかけ、「散らばった破片を集めて砕けた記憶の鏡を元通りに」する作業によく似ていた……〉

事件が起きた年、「私」は十五歳で、従妹の双子姉妹、密夏と伊緒は十四歳だった。
われわれの生まれ育った白浪島は、かつて銘石の産地として活況を呈したが、資源枯渇によって住民が去り、事件当時は無気力の蔓延る未来なき島と化していた。

昭和六十三年五月、校内随一の美少女と謳われた伊緒が姿を消した。夕刻、小学校の廃校舎に一人きりで足を踏みいれた彼女は、衆人環視の建物から忽然と消えてしまったという。
数日後、今度は叔父までが行方知れずとなり、以来、二つの事件は四半世紀を経ても解決に至らず、いつしか時の流れに置き去られたかに見えた。

二十七年後のおととし、東京で暮らす「私」は、未解決に終わった過去の失踪事件の真実を探りはじめる。
呼び覚まされた記憶、そして、取材によって新たに明るみになった当時の白浪島は、こんな事々に彩られていた。

・古い巻物が明らかにした島の歴史
・廃校に伝わる神隠しの怪談
・従妹の父と叔父の確執
・姉妹の継母に囁かれる「狐憑き」の噂
・無投票選挙で選ばれつづける町長一族
・町長宅に落下した鉄隕石
・妖狐の面をつけて移住してきた画家
・島の在り方を糾弾するビラ騒動
・「島おこし」の映画を撮るため帰島した著名俳優
・伊緒の居場所を伝えに現れた自称霊能者
 ……

数々の出来事にふたたび直面するうち、「私」は過去の事件を通してあの時代――己や伊緒の青春だった「1980年代」のありようをも見つめ直していく。

独自取材は一年半に及んだ。
切れ切れの記憶を掘り起こし、数多のエピソードを回収し、それらを繋ぎあわせることで、やがて「私」は遠い故郷の島で起きた事件の真相に辿り着く。

かつてあの島で何があったのか?

純粋本格×ノスタルジック青春ミステリ。
     

もくじ

登場人物紹介

山之内 比佐志(やまのうち ひさし)  


山之内家当主。白浪島随一の分限者。昔かたぎの家父長

山之内 水枝(やまのうち みずえ)


比佐志の若き後妻。双子姉妹の継母

山之内 密夏(やまのうち ひそか)


比佐志の娘。二卵性双生児の姉。十四歳(事件当時)

山之内 伊緒(やまのうち いお)   


比佐志の娘。二卵性双生児の妹。十四歳(事件当時)

山之内 世志(やまのうち よし)


歳の離れた比佐志の弟。元デザイナー。東京で挫折して島に戻っている

山之内志乃(やまのうち しの)   


比佐志・世志の母。世志を盲愛

三輪 信之(みわ のぶゆき)


駐在所の巡査部長。島出身者で人々から慕われている

三輪 麻衣子(みわ まいこ)   


信之の妻。比佐志の実妹、世志の実姉

三輪 京右(みわ きょうすけ)


信之の息子。密夏・伊緒の従兄。十五歳(事件当時)

事件の二十八年後、真相解明に至るまでの手記を書く

木津子 直(きづね ただし)


島に移住してきた謎の人物。常に狐の面をつけている

小説情報

紫蘭の花咲く頃

佐々木俊介  s-mushi

執筆状況
完結
エピソード
32話
種類
一般小説
ジャンル
ミステリー
タグ
ミステリ, 本格, 青春小説, 人間消失
総文字数
143,190文字
公開日
2018年09月11日 09:43
最終更新日
2019年06月12日 23:52
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