セリフ詳細

 すると次の瞬間、この世のあらゆる絶望の粋を集めたかのような、名状し難い絶叫が火の粉舞う夜空にに響き渡った。

 

 頭上を見上げていたレイカとヨウコは思わず目をつむった。次の瞬間生きてきた中で体験したことのない力積の波動が彼女たちの体を突き抜けていったのだった。


 ヘリコプターはその衝撃を受けてバランスを失ったのか、右へ左へと大きく旋回を始めた。そしてそのブレ方がだんだんと激しくなっていった。

 若いレスキュー隊員は、自分に繋がれたロープごと成す術なく強引に空中へ放り投げられてしまう。

 その動きはまるで振り子のようで、何度か往復した後の大きな戻しでビルの側面のコンクリートの外壁に激しくも無慈悲に打ち付けられてしまった。肉が強烈に激突する打撃音とほぼ同時に、レスキュー隊員の最期の短い悲鳴が聞こえてきた。

作品タイトル:とある廃墟ビルディングにて~赤い目の女編~

エピソード名:第5話

作者名:Tadashi_Kimura

3|ホラー|完結|5話|20,796文字

村山台駅, 心霊スポット, 黄昏症候群, 雛城高校, ホラー, 怪談, 女子高生, カタストロフ, 都市伝説, R15

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学校が終わり下校中の二人の女子高校生ヨウコとレイカ。他愛ないおしゃべりの最中にレイカが最近よくこの周辺で噂されている女性の幽霊のうわさ話を口にした。村山台駅のホームからも見えるビルディングにまつわる噂だ。明かりが灯るはずもないその最上階に、赤く二つの光が見えるという。そのビルは放置されてから10年は経つ廃墟でそこで飛び降りた女の幽霊が出るとか、火災で死んだ人の霊がうろついているとか、様々な曰くつきの噂が絶えない場所だ。おしゃべりで終わるだっはずが、好奇心もしくはこの世に存在しない何者かの手によって背中を押されたか分からないが、彼女らは噂の真相を突き止めるために、とある廃墟ビルディングへと向うのだった。その場のノリで行ったにすぎないかった廃墟で彼女たちが見たものとは‥‥。

※これは一般小説で書いた作品をテスト感覚でチャットノベル化してみた作品です。
人によって描写がグロくショッキングに感じるところがあるかもしれません。
表現の一部に人によってはグロやショッキングに感じるところがあるかもしれません。
これは必ずしも連続性はないですがシリーズ物です。