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活動報告

電車の中で

この前、地下鉄に乗ってたんですよ。
地下っていっても外はこんな酷暑なわけだから体からも熱は引いておらず、座れてホッとしてたんです。
天井からはファンで冷風が吹き出していて地獄に仏って感じ。

昼下がりで市中心部から離れる方向だったため車内も比較的空いており、まだ座れる場所も散見される状態。
すぐ降りるからか、あるいは特に座りたくないからなのか立ってる人もちらほら。

そんななか、なぜだか一人のお爺さんが私の前に立ちました。
すぐそこに優先席もあるってのに。

お年寄りってたとえ一駅だけだったとしても、空いてればほぼ間違いなく座るじゃないですか。
ところがこの人は座らない。
しかも私の真ん前でつり革につかまってるもんだから、せっかくの天井からの冷風を遮蔽してくれている。

それでもじきに降りるだろうと思って我慢はしてたんですが、次の駅でも、また次の駅でもそのまんま。
いや、出入り口を塞がないため席の前に立つというのはいいことなんだけど、空いてる席はあるし座席だってロングシートなわけで、立つ場所ならそれこそ選択肢は豊富なのに、なんで私の、私だけの前に。
周りで立ってる客はほぼいなくなってもそのまんま。
電車が進むに連れてお爺さんの後ろの席も空いたのに、全く動じません。

ついに、今度こそ降りてくれるだろうという乗降客の多い乗換駅に着いたのですが、期待とは裏腹に彼はそのままでした。

およそ15分。
次は私の降りる駅です。
膝の上のバッグにスマホを戻し、ポケットのICカードをズボンの上から確認。
ポイントを渡るガタガタという揺れも去って席を立ちました。

お爺さんは躊躇することなく、さっきまで私が座っていた席に腰を下ろしました。

たぶん湿ってるよ、その席。
だって暑かったんだもん。

2023年 08月05日 (土) 12:50|コメント(0)

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