Brave-1 1941-2021/祖父の旅・僕の旅

作者 龍田 樹

[歴史]

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【この小説は、ぜひ縦書きスタイルにして読んでください】
「二度目の原爆投下を阻止することができなかった」と祖父が戦後の生涯ずっと持ち続けていた悔恨の念。
開戦から終戦までを駆け抜けた、一式陸攻とその搭乗員 磯崎敬造の戦いを、緻密な構成でリアルに立ち上げていきます。
「これから、もしまたこの国が国難に見舞われたとしても、日本は絶対に負けません。日本人はけっして諦めません。耐えて耐えて耐え抜いて、必ず立ち上がって、立ち向かって、最後には必ずやり遂げるはずです。私は信じております。――」

太平洋戦争で幾多の戦闘を生き抜いてきた磯崎敬造が、現代の日本人に残したメッセージを、コロナ禍に揺らぐ今こそ、受け取って欲しいと願っています。
そして本作の終章では、本来は、東南アジアに戦線を限定すると国策で決定されていた「大東亜戦争」を「太平洋戦争」に拡大し、日本を原爆投下と無惨な終戦に引き込んだ山本五十六の戦争責任を検証していきます。

【あらすじ】
 ある地方都市の私立大学で、英文学の准教授を務める磯崎のもとへ、突然届けられた一本の古びたカセットテープ。
 それは、三十年前、地元の新聞社が生前の祖父を取材した、インタビューの録音だった。
 そこには、生前の祖父が、家族の誰にも打ち明けることのなかった、壮絶な戦争体験が語られていた。
 磯崎も磯崎の父も、「じいさんは、戦争中、海軍の飛行機乗りだった」としか聞かされていなかった、祖父の戦争体験。
 テープのなかで、祖父は、長崎への原爆投下を、自身が阻止できなかったことを嘆いていたのだが、東北の太平洋沿岸の三沢という小さな町で終戦を迎えたという祖父と原爆投下に、いったいどんな関係があったというのか?
 テープを聞き進めるうちに、磯崎の胸に湧き上がる数々の疑問と興味が、彼を、祖父の戦争体験の足跡を辿る調査の旅へといざなっていく。
 テープを聞き終えた磯崎は、一式陸攻搭乗員であったという祖父が終戦を迎えた地である、三沢へと向かうのだった――。


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