【ブックガイド】人生は、断片的なものでできている

作者 mika

[創作論・評論]

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21件のファンレター

☆NEW!!☆ウィリアム・フォークナー『エミリーへの薔薇』 #ノーベル文学賞
皆さまに、ぜひとも読んでもらいたい! と思う作品をネタバレなしで紹介しています。
ノーベル文学賞って気になるけど、難しそう……そんな受賞作家の作品も3000字程度で解説。
現在、お題企画「戦争について考える」に参加中です。

表題は『断片的なものの社会学』(岸政彦)のオマージュです。
※表紙はAdobe StockからFranzi Drawsさまの作品を使用させていただきました。

ファンレター

カミュ『異邦人』

みかさん、ファンレターおそくなってすみません。コメントにも書きましたが、はるか昔高校生の時読んだ『異邦人』の内容はほぼ忘れていましたが、みかさんの書評で僅かに思い出しました。物語の背景に植民地という厚い壁があったのですね。やはりカミュの作品は一筋縄ではいかないと思いました。高校時代は日本の作家の本を読む方が多かった中で、この作品を読んだ時は軽いショックを受けました。「ママン」何故かこの響きが心に残ったり、文章そのものに引き付けられたり…。機会があればもう一度読み返したいです。みかさんのお陰で懐か ... 続きを見る

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異邦人!

mikaさん、こんばんは。満を持しての『異邦人』ですね。 「読書メーター」の評論とはまた違う部分にもスポットが当てられ、流石だなあ、と思いました。 この「流石」は、勿論mikaさんに対してですが、『異邦人』という作品に向けても声を大にして言いたいです。 よくこの作品は「不条理」という単語を当てはめられるのですが、 どこに「不条理」を置くかは読み手次第で幾通りもあるなあ、と思うのです。 その点、同じ一人の読者でも、何度も読んで異なる不条理を感じ取ることができてしまう…… 決して楽しい作 ... 続きを見る

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読みます!

mikaさん、こんにちは。オルハン・バムクの紹介を有り難うございます。 こんな面白くて大切なテーマを取り上げる当事者側の作家が、(西欧中心の)世界で「評価」されるなら、世の中はまだまだ希望がありますね。ノーベル文学賞、その時は関心を持ちますが、読む前に忘れてしまい、機会を失ってしまうのです。恥ずかしながら。 フランスやドイツでのイスラーム文化受容についての話は見聞きしていますが、トルコ国内でも……。 親切の強要は困りますね。日常でも。マスク警察などもそういう面があるのでしょうねえ。 ... 続きを見る

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「ペンギンの憂鬱」と「何が残るのか」

mikaさん、こんばんは。 アンドレイ・クルコフ「ペンギンの憂鬱」についてのmikaさんの作品読了後、「ロシアがウクライナへ侵攻した後、何が残るのか?」を読ませて頂きました。 クルコフという作家さん、全く知らなかったので、こういう方もいらっしゃるんだ、と知ることができました。ありがとうございます。 「ペンギンの憂鬱」、すごい可愛いんだけど、淋しそうな後ろ姿の… 素敵なタイトルです、笑。 やっぱり傷跡、こどもの頃の心の傷みたいなものが… 大なり小なり、誰にでもある、とはいえ、やはり戦争 ... 続きを見る

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第一次世界大戦の戦争詩人たち(ルパート・ブルック「兵士」)

mikaさん、さっそく読ませて頂きました。 まず、驚きました、「戦争文学」というのがあること、しかもその起源といわれる作品が、紀元前八世紀~七世紀に書かれたということに。 怒り、悲しみ、仇を討つ… 戦争の起こり、その動機、心情面を、ホメロスの「イリアス」は重視して書かれているのでしょうか、少なくとも僕は、この全編が終わるまでのストーリーの中に、感情的な部分が重く感じられました。この感情、心情面は、今起きている戦争にも通じているようで、そこに「不信」というのが、かの為政者の心に大きく加わっ ... 続きを見る

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ルパート・ブルック

mikaさん、こんばんは。 さっそくの投稿、しかも文学作品からの考察、流石です。 「イリアス」は確かに、最古の戦争文学ですね。先日通読したときは、「神」と「人間」との関係を考えながらだったのですが、戦争そのものとして読むのもいいと思いました。「オデュッセイア」を積読したままなので、その視点で、そろそろ進めなくては、と…。 そしてブルックの詩。考察のとおり、特に戦争遺族にとってはこうした言葉が本当に必要だったと思います。 mikaさんも触れられていますが、僕はどうしても日本のことを ... 続きを見る

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ワニワニパニック

えーっと、まず、かめさんにエアリプなのですが「桜の木の下には死体が埋まっている」は、梶井基次郎『桜の樹の下には』からの引用ですよー(たぶん)。 さて。もちろんソローキン『青い脂』が好きな僕なのですが、あの有名な「兵隊さんプレイ」のボーイズラブの話や、ロシア→フランス→アメリカ、と亡命してロリコンの語源になった『ロリータ』の作者、ナボコフの〈文学クローン〉の話はおいといて。 ソルジェニーツィンは(雪解けのときに『イワン・デニーソヴィチの一日』でデビューしたからって理由もあるけど)、『収容所群島 ... 続きを見る

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坂口安吾

mikaさん、こんにちは。 坂口安吾… 檀一雄の書いた「太宰と安吾」を読んだことがあります、当時の作家って、ほんとに今から考えられないくらい、破天荒というか、何というか、むちゃくちゃな感じがしました、笑。 「桜の木の下には、死体が埋まっている」、有名な言葉ですが、この安吾の小説から出たのかな、と思いました。 「人間の真実の美しさ」。最近、とても、この「美」…美しさ、美しい、というより「美学」というのか、「美を学びたい」という気持ちに、よく、なります。 「個としては意味をもたない、 ... 続きを見る

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アンドレイ・クルコフ氏

mikaさんのブックレビューのおかげで『ペンギンの憂鬱』を読んだ私としては、今回のレビューは「待っていた」感じがありました。 「ロシア語で執筆するウクライナ作家」であるクルコフ氏が、今どんな思いでウクライナに留まっているのか……私もクルコフ氏の英語のツイートを見ています。 今回mikaさんが、クルコフ氏がThe New Yorker誌に寄稿した文章を紹介して下さったのは、本当にタイムリーで、ジャーナリスティックな意義があると思います。 その中でも、特に「言語に罪はない、プーチンにロシア語の ... 続きを見る

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狭間の苦悩

mikaさん、こんにちは。アンドレイ・クルコフに関する二編を拝読しました。 ウクライナの言語・文化が「ロシア」とスッキリ分けられるものではないだけに、 狭間で苦悩する人々は多いでしょうね。そして子どもたちへの影響も確かに心配です。 また、おじいちゃんを殺した国の言葉、として英語を拒絶することができない我が国を思います。 さすがに母語ではない人が多いので、苦しみが違うのでしょうが。 ウクライナ以外の場所でも、内政問題として干渉されない地域も含め、似た出来事は多々あります。 ... 続きを見る

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ヘルマン・ヘッセ『車輪の下』

mikaさんの活動報告と合わせて読んで、mikaさんがどういう意図でこの書評を書かれたかよくわかりました。 実はあのセンター試験の日の事件は、私もネットニュースで見て、衝撃を受けていました。 詳しい事情は部外者にはなかなかわかりませんが、学校生活や受験制度、また教師や親との関係が子供に大変なストレスを与えていることは間違いないですよね。『車輪の下』は受験生が読めば、「ああ、悩んだり苦しんだりしているのは自分だけじゃないんだ」と思えるでしょうし、親や教師たちが読めば、自分もまた、ハンスを追いつ ... 続きを見る

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ヘルマン・ヘッセ『車輪の下』

数年前、子どもの大学受験を体験した親として、身につまされ何度も頷きながら読みました。今まさに受験シーズン、とてもタイムリーな書評。mikaさんの作品は『聖書と文学』「クリスマス・キャロル」のときも感じましたが、時節にあわせた名作を紹介していただけるので特別感があります。 作中の「大人たちの好意と親切心を装った抑圧する力」……響きました。子どもに圧はかけてこなかったつもりだけど、さてどうだったろうかと。「いい親」を装ったダブルバインド(矛盾する命令、二重拘束)は子どもの精神疾患を招きやすいと読ん ... 続きを見る

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二度の読書体験とメッセージ

mikaさん、こんばんは。 なんと、『車輪の下』ですね。 自分の中学受験生時代もしくは中学1年の時かどちらかに読んで、 そして中学受験生の親として最近読んだ作品です。 そういう人も多いかなあ、と思いますが。 当時は、 やばいな、勉強しすぎたら。 遊びも大事だぞ。 (文学に憧れていたので)創作もしなきゃな。 そして、酒に溺れるのは絶対やめよう。 最近は、 勉強は、受験は、誰の意思だったろうか でも、子どもの考えや希望だけで、よい選択ができるものだろうか? それでも ... 続きを見る

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クルコフ『ペンギンの憂鬱』-秩序の形成を善、秩序の解体や破壊を悪とする立場

mikaさん 先日、mikaさんより、本書評の中で、ロシアのアネクドートをひとつ紹介しているからと教えていただきましたので、早速、拝読させていただきました。本書評で引用されているアネクドートも冴えてます。アネクドートが風刺する状況は非常に厳しいものが多いですが、こうしてユーモアを持って批判し反抗していく文化は独特で評価したいです。 本書評の内容ですが、まず小説の著者と主人公にキエフが関係しているところに興味を持ちました。私は、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの本、独ソ戦やチェルノブ ... 続きを見る

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『太陽の男たち』『ハイファに戻って』

こういうブックレビューは、mikaさんの独壇場ですね!この「NOVELDAYS」に既に確固たる地位を築いている気がします^^ 1960年代から1970年代、日本では高度経済成長が謳歌されていく時代に、世界の中には、「書くこと、表現すること」に命を懸けなければならない作家がいたんですね。mikaさんの作品を読んでいると、本当にこの世界の広さと深さを感じます^^ そうだったんですか、「抵抗文学」という言葉は、カナファーニーによって生み出されたんですね!文学が抵抗の手段になるというのは、例えば台湾 ... 続きを見る

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ガッサーン・カナファーニー『太陽の男たち』『ハイファに戻って』

「パレスチナとは何か」を自分に問う主人公。「血や肉や身分証明書やパスポートではない」という記述に、無知な私はイスラエルという国とパレスチナ問題を再確認しました。 第1次大戦で財政難になったイギリスが、ユダヤ金融資本に国債を買ってもらうためシオニズム運動(ユダヤ人国家建設運動)を支持。その結果ユダヤ人がパレスチナに大量流入し、先住民のアラブ人と紛争が勃発。ユダヤ人はホロコーストを受けたことで同情が集まり、追い風に乗って1948年にイスラエルを建国。追放されたアラブ系住民がパレスチナ難民になった。 ... 続きを見る

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ドストエフスキー『鰐』

「2000字書評」の縛りがなくなって、大幅改稿されたドストエフスキー『鰐』の書評。とても興味深く拝読しました。ドイツ人が話すロシア語の文法の混乱が、深い寓意につながるというところが、すごく面白かったです。しかも、この「役人が」と「役人を」の違いをロシア語原文を用いて詳しく解説して下さるなんて、本当に贅沢な書評ですね(*^^*) それにしても、こういう思想問題をめぐる深い寓意の込められた作品をユーモア小説として楽しめるとは、当時のロシアの読者ってすごくレベルが高かったんだなあ、と思いました。ユー ... 続きを見る

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ドストエフスキー『鰐』

鰐に飲み込まれたイワンの寓話。そこには進歩派インテリゲンチャが自ら鰐(=監獄と流刑地シベリア)に飛びこんでいく愚かさ、予言者ヨナのパロディー、共産主義の逆転ともとれる現象など、様々な事象を包括していると知りました。まさに鰐の腹の中のよう。でも飲む/飲まれるは鏡像になっていて……。自分には難しいので手に取ることのないような作品でしたが、mikaさんの解説がとてもわかりやすく興味深く、理解の助けになりました。mikaさん自身の思想の押しつけが無いので、ニュートラルに読み進められます。ラストの文章は考 ... 続きを見る

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『野アヤメ』の詩

mikaさんの文章は偏見や押しつけが無く、フラットな気持ちで堪能することができるので好きなのです。そして平素な言葉で深淵が伝わります。今回の『野アヤメ』の訳詞、心象風景に浸り趣深く味わいました。そして後半mikaさんの解説を読み、ノーベル文学賞を受賞した詩人ルイーズ・グリュックがうつ病であったこと、彼女にとって詩は「祈り」であることを知って再度読み直すと、また違った感慨が迫りますね。静謐な言葉一つ一つが美しいです。『マツユキソウ』の詩もいいですね!やっぱりmikaさんの作品は信頼できます。

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魅力的な書評!

オルガ・トカルチュク『逃亡派』。またもやとても魅力的な書評でした!単体としての作品もとても面白そうですが、mikaさんのおかげで「逃亡派」に関する歴史的背景などがわかると同時に、「ドストエフスキーの『罪と罰』やトルストイの『復活』、トゥルゲーネフの『猟人日記』、ゴーリキーの『どん底』」との関わりなどが指摘され、興趣尽きません。 ロシアやヨーロッパの文学を本当の意味で理解するには、キリスト教に対する知識が不可欠だとはわかっていながら、信仰もなく、怠け者の不勉強で今まで生きてきてしまった私のような ... 続きを見る

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