ミウ「この国はいつまで資本主義が続くの?」

文字数 1,121文字

日付が変わると外は小雨が降っていた。
ミウは託児所代わりの生徒会本部へjrを預け、
賢人と2人で校内をぶらぶらと歩きまわっていた。

どこの教室もがらんとしていて、どこを歩いても人気はない。

「八月が終わるまで学校は夏休み期間なんだ。
 この学校は夏期講習も部活動も休み期間中は一切禁止。
 自宅や市の公共施設を利用して勉強や運動をしてもらう決まりなの」

反革命主義者とは、はっきりいって
ソビエト社会主義(日本共産党とは違う)
に賛同しない全ての国民を差すわけだが

学生たちは頭が柔らかく、血の気が多く、多感な時期でも
あるため、外部からの刺激を受けやすい。
思想的にはかなり危うい存在と考えられている。

「夏休み中にこの学校が嫌になって転校を考える人。
  外部のスパイ組織(自民党)と連絡を取る人。
  こっそり自宅で武器や弾薬を密輸する人。製造する人。
  色々な人が毎年出る」

ミウは護衛の一人に命じて、プリントアウトされた一覧表を
賢人に見せてあげた。

・高橋ちづる スパイ容疑(ネットでの防諜)
・榊原愛奈  スパイ容疑(ネットで不適切ページの閲覧)
・柳瀬未亜  連帯責任 (スパイ容疑者の親友)

他多数 全部で30余名。諜報広報委員会が作成。

「この時期が一番危険なんだよ。だから私も神経をとがらせているの。
 どこに危険分子が潜んでるか分かわらないんだもの。
 この子達が新学期から破壊工作と化してもおかしくない」

「容疑者は女の子ばかりだけど、破壊工作するってのは
 なんだか実感がわかないね」

「そうでもないんだよ?」

ミウは、学生時代に起きた爆弾テロリスト事件を説明してあげた。
理系の一年生の進学コースが引き起こそうとした事件だが、
生徒会が事前に作戦計画を手に入れ、未然に防ぐことに成功した。

「それと女子が多いのはね」

ミウが卒業してから実に9年も経過したが、この学園では
反対主義者の取り締まりが特に厳しく実施されているため、
上から押さえつけられるのが苦痛に感じる人の多い男子生徒は、
ほとんど入学してこなくなってしまった。

在学中の男子もやはり反社会的な活動を取る人が多いので
収容所行きになり、そのせいで男女の比率が次第に変わっていった。

ミウの時代は男女比6:4で比較的男子が優勢だったが、
今では2:8。ほとんど女子高に近い割合となっている。

彼らが歩いているのはB棟。2学年が使う校舎である。
ミウがボリシェビキに目覚めた時は2学年の夏休み明けだった。
彼女はかつての自分のクラス2年A組組の前で立ち止まる。

「ここが、かつてのミウのクラスなのか……」

「まだ説明してないのによくわかったね?」

「いや、何となくそんな感じがしたから言ってみたんだ。
 まさか本当にミウの教室だとは(>_
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