5月13日 石ころ14:一番楽な稼ぎ方

文字数 589文字

 昔であったかいまであったか、ひとりの貧しい女の子がいました。

 女の子はお母さんと二人で暮らしていましたが、食べるものが一つもなくなってしまいました。仕方なくコンビニ強盗に向かうと、おばあさんに出会います。おばあさんは盗聴器で事の次第を知っていましたので、女の子に魔法のIDとPWを教えました。

 秘密のサイトにアクセスし「中央銀行や、刷っとくれ!」と言うと、中央銀行は預金残高を増やします。そして「中央銀行や、やめとくれ!」と言うと、刷るのを止めました。
 女の子は魔法のIDとPWを持って帰り、貧乏から脱却しました。

 女の子の外出時、お取り寄せスイーツをネット注文しようと、おかあさんが「中央銀行や、刷っとくれ!」と言いました。しこたま頼んだ後、止めようとしましたが、その言葉を知りませんでした。

「多少お金が増えても、問題ないわね」

 お母さんは放置しました。

 中央銀行はあらゆる税金を女の子に注ぎます。消費税は30%を越え、公的基金は廃止されました。規制緩和が進み、大麻もカジノも合法化され、収益の大半を税金で巻き上げます。

 税収は倍増すれど、賄えない分は国債を発行しました。

 尚、国会議員の給料は変わりません。

 女の子が急ぎ帰ってきて、魔法の言葉を叫ぼうとします。
 通りがかりの一般人が止めました。

「いままでと然程変わりないよ。甘い汁を啜るだけ啜る蟻より、君に貰って欲しいな」
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