すふぃんくす

文字数 455文字

 夕暮れ、学校の帰りみち。一匹の猫に通せんぼされた。
 猫は自分のことを、すふぃんくすだという。
「すふぃんくすだから、なぞなぞを挑まないとね」
 そういって猫は、ぼくに問題をだした。
「はじめは四本足で祝福され、つぎに二本足でうとまれて、最後に三本足で邪魔にされ消えてゆく……」
 ――さて、これなーんだ?
 ああ、それならわかっているよ。
 答えは、このぼくだ。
 みんなに嘱望されて生まれてきて、期待に応えられず唾棄される。そしてきっと、こうしてお荷物あつかいのまま歳をとり、ぼくは死んでゆくのだろう。
「うん、正解」
 答えると、猫はそういって寂しげにみちをあける。
 でも去り際の猫は、にっこりわらいながら振り向いた。
「それでも、人生なにがあるかわからない。あきらめるなよ、少年」
 それを聞いてぼくは、明日もう一日だけがんばってみようと思った。それからは一度も、ぼくは猫と会っていない。
#ホラーポエム




ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み