第19話 本屋には行くけれど……

文字数 2,585文字

 『本屋には行くけれど……』 ← 本が売れない理由、かも。
 余談ですが、皆さん、本屋にはどれくらいの頻度で通っていますか。
 私は、フルタイムで働いていた時は、週一回あるかないかでした。
 今は求職期間中で時間があるので、週ニ、三回本屋に行っています。買い物に行くルートに本屋があるので立ち寄るくらいですが。
 小説を書き始めてから十年くらいは、「面白いものを書けば受賞でき、受賞すれば本屋に平積みされ、平積みされれば売れる」と勝手に思っていました。
 今まで散々言いましたが、面白い基準は人によって違い、面白ければ売れると思っているのは自分だけ、だったりします。……いたた、私のことですね、はい。
 幸運にも受賞できて、幸運にも本屋に平積みされたからといって、売れるかどうかは分かりません。多少は売れると思います。
 しかし、これも私の勝手な妄想ですが、「平積みされたら三十万部くらい売れるだろう。もしかしたら五十万部くらいいくかも」、なんて考えていたこともありましたが、現実はもっと少ない、三千部発行して売れ残るかもしれないのです。その場合、単行本でも印税(収入)は五十万円前後です。
 ある漫画のセリフで、芥川賞でも三千部売れない、記述がありました。本当かどうかは分かりませんが、それくらい本は売れません。芥川賞作家でもバイトしながら兼業している人は少なくない、そうです。

 では、なぜ、本は売れないのか。
 私は週三回本屋に行っていますが、チェックする棚は決まっています。時代劇やホラー、ミステリー小説、エッセイ、ビジネス書、専門雑誌、ラノベ、雑誌コーナー、漫画……ほとんど行きません。
 本屋の入口から最新刊の棚(漫画)に行くルートに平積みされた単行本は目に映りますが、目の端でちらと見るだけです。
 たまに立ち止まって見たりしますが、一番手前の列と二番目の列、それより奥の列は一秒間に二、三冊のスピードでざっと見る程度です。すぐ隣にあるビジネス書の平積み書籍はそのまま素通りし、立ち止まっても数秒です。
 散歩がてらに立ち寄る(時間のある)時は、平積み作品の前に立ち止まり、表紙の絵やタイトルを確認し、帯の宣伝文句を読みます。興味をひくタイトルや聞いたことがある作家だと、〈面白いかな〉と思って手に取り、表紙裏のあらすじをチェックします。〈なかなか面白そうだ〉と裏表紙の値段を見て〈高っ〉と思い、元の位置に戻します。そして自分が興味のあるいつもの棚(最新刊の漫画コーナー)へ歩いていくのです。
 これではいくら面白い作品だからって、買ってもらうのは至難の業です。
 もちろん、私のような人だけではないと思います。じっくり、まったり、一冊一冊手に取って吟味してくれる方もいると思います。しかし、よほどの読書好きでなければ、さっさと他へ行ってしまいます。
 つまり、ほとんどの本が平積みしても手に取ってもらえない、のです。
 毎日のように大量の本が発刊され、平積みされる期間は長くて一ヵ月です。それで売れ残れば出版社に返されて、取り寄せがなければ裁断(廃棄)され、絶版扱いです。
 本屋になければ取り寄せてまで読もうと思いません。もし取り寄せて、中身を見て自分の好みに合わなかったら「やっぱり、買うのやめます」とは店員さんに言いにくい。そう考えると、取り寄せはやめて図書館で借りよう、と思います。……私だけ?

 じゃあ、お前は本屋に行って何を見ているんだ、と思われるでしょう。
 私は作品の資料になる本や集めている漫画の最新巻が出ていないか、たまに自分が好きな作家の小説を置いてある棚を見ます。後は、転職に関わる書籍や料理本などです。他に、CDの棚を見て好きなアーティストのアルバムが出ていないかをチェックします。
 自分が集めている漫画の最新巻が出ていないかと最新刊コーナーをチェックし、作品の資料になる本はないかと国際関係の本が置いてある棚を見る。興味のある本の両隣に置かれた本はちらとは見るでしょうが、全ての棚は見ません。これは小説でも書籍でも漫画でもCDでも同じです。
 小説を買うのは勉強のため、芥川賞作品や新人賞受賞作品を読むのも、有名作家の作品を買うのも勉強のためです。
 ただし、作品の資料になる書籍や新書等は、多少高くても即買いします。二千円前後する本は、一応、ブック〇フにもないかチェックし、なければ本屋に戻り二冊か三冊くらいまでならニ、三日以内に買います。
 これは、気になった本があったけれどすぐには買わず、三週間後に買いに行ったらなかった経験が二度、三度とあったからです。待っていればまた出てくるだろうと度々チェックしていましたが、それきり、二年経っても、三年経っても棚には現れませんでした。
 そういう失敗から、気に入った本、気になった本はその場で買うか、遅くとも数日以内には買うようにしています。
 このように私は気に入った本や漫画は大人買いします。そして何回も何回も読みます。専門書や新書なら二回、三回、四回……、分かるまで読みます。
 テレビ(録画)もそうです。同じ番組内でも気に入った場面だけを何か月も繰り返し繰り返し見ます。興味のないところは飛ばします。
 例えば音楽番組では、録画して好きな歌手のところだけを見ます。
 要するに言いたいのは、私は「本は読むけれど、ごく限られた本しか買わない」、のです。
 本棚が狭いこともありますが、自分が買った本(作品の資料)でも読み終わっていないのに、それ以外の本を読む時間がもったいないのです。……あかんやん。
 こんな人ばかりではないと思いますが、本を読む人でも興味のある本しか買わないし見ない、好きな作家の本しか買わないし見ないでは、新人作家の本は売れないですよね……。
 時々、小説を立ち読みしているつわものがいますが、私は腰と背中と足が痛くなりそうなので、それはできません。
 近年、本屋が少なくなっている、そうです。私も近所の本屋がなくなったら困ります。辛いです。もう少し、性根を入れかえて本屋へ行って、本を買おうと思います。
 欲を言うなら、本(特に小説)は出版社ごとに並べるのではなく、CDショップのように作家ごとに並べてほしい。探しにくくて……。
 出版社で買う人少ないと思う、私は作家買い派、もしくは、あらすじ&タイトル買い派です。

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