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文字数 809文字

 と言う訳で。
俺は隣の惑星へと宇宙旅行と相成った。
 一般的には、隣の惑星と言えば、火星を思い浮かべるだろう。だが、今や木星や土星まで行く時代なのに。俺の行く星は金星だ。
つまり太陽から見て、地球の内側の惑星へと行くのだ。
 これはまあ、田舎の探検みたいなものだ。

 人は外へ、もっと外へと、行きたがるものだからだ。そのせいか、パイロットがいなくて、ロボットに行かせる事になっていたのだが。
やはり人が行くべきとの意見で計画が長期に渡り頓挫していた経緯がある。
 私が何故、この司法取引を持ち掛けられたかと言うと。今はタクシードライバーなんかやっているが。昔、月まで行って還って来た宇宙飛行士。所謂、アストロノーツだったからだ。

 それが何でタクシードライバーなんかやってるんだだって?別に、不祥事を起こした訳ではない。
 ゼニック(ジャクサの後継機関と言う設定)
が度重なる不祥事に、とどめを刺した。
アメリカ基地への納豆攻撃で完全廃止となり。後継機関、新日本航空宇宙局シニック
『SNCK』へと受け継がれる時。
大規模なリストラを行った為だ。

 当然、技術者や事務的な、お偉いさんは残って。リストラ対象となったのはパイロットや整備などの関連技術者だった。
 特に、新たな宇宙開発計画を持てないシニックは。唯の趣味の集まり的な集団へと落ちたのだ。まあ、大抵の技術者は航空会社や外国の宇宙開発の関連組織へと吸収されたが。
パイロットは要らなかった。

 パイロットと言うのは。計画が発案されてから訓練を始めて丁度良い程、時間と金がかかるのだ。既に宇宙に行った俺を5年や10年の歳月、雇うだけの経済力はなかった訳だ。
 更には、俺は潰しの効かないパイロット気質だったのもリストラ候補としてあげられた理由だった。
 最近は宇宙飛行士など珍しくもない。
政治家やその他タレント業など一杯一杯で。
俺が入る隙間などなかった。だから、タクシードライバーをやっていたのだ。
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