個性派の弟

文字数 986文字

2022年6月
そろそろカタログが届く頃だ。仕事終わりの車の中で思う。ホームページ上では既に募集馬のラインナップ、価格、馬体は見る事は出来る。でもやっぱり紙ベースのカタログを見る方がいいんだよなぁ。アナログ人間、時代に取り残されないようにはしたいが。
帰宅すると予想通りカタログが届いていた。夕食後、娘が妻のスマホでYouTubeを観てる隣でカタログを開く。倶楽部に縁のある血統の馬が今回は多い。その中でカタログが届く前から気になってた馬のページを見る。
ミスペンバリーの21
牡馬で父親はダービー馬のキズナ。兄弟には重賞レースでも活躍したディメンシオン、そして今年のドバイターフを制したパンサラッサがいる。
(血統ならこの馬やろ)
もうこの時点でほぼ出資する事を決める。迷いだしたらキリがないのであまり深く考えないようにしている←それがいいのか悪いのかは分からない。
SNSのタイムラインを見る。基本的に一口馬主をしてる人をフォローしてるので、タイムラインは自然と一口馬主についてのつぶやきがほとんどになる。今は広尾の募集馬についてつぶやいてる人が多い。しかし今回はちょっと募集馬について辛口なつぶやきが多いような気がした。特にミスペンバリーの21について
「馬体重350kg!小さすぎて草」
「なんでこんな小柄なのにもう募集するんだ?」
「キズナ産駒の全兄は勝ち上がれず引退してるしなぁ」
「そもそも価格高くね?パスします」
などなど···ちょっと厳しいジャッジが多い。
(面白いな。出資のしがいがある)
天邪鬼な性格がここで出る。
馬体は確かに小さいがキズナ産駒の牡馬なのでこれからの成長に期待出来る余地はある!全兄は確かに勝てなかったが、だからこの馬もダメだというのはナンセンス!価格は···確かにちょっと高いwまあ欠点がちょっと多いくらいの方がいい!G1馬になったパンサラッサの弟、大逃げで場内を沸かす個性派の弟なのだから!
SNSの否定的なコメントに心の中で反論する。あくまでも心の中で。SNS上での言い争いなどを見ているとゲンナリする。←でも見てしまうのが不思議。
周りの評価は決して高くないように感じたが、初志貫徹で募集開始当日にミスペンバリーの21に出資。
(兄と同じように場内を沸かすような走りをしてほしいな)
1頭の小さな幼駒に大きな夢を託す。出資した直後が一番ワクワクするかも知れない。
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