第1話 キスしてくれないかも

文字数 340文字

ゴールデンな休みの最中に、歯が痛くなった……気がする俺だ。
もちろん、歯医者はやってない。
というか、本当に歯がいたいのか、と自分でも打ち消したい気分。

だって歯医者はきらいだし――
神経がぬいてある歯だから痛くない感じがするし――

って、ゴールデンな休みなのに、歯が気になって全然楽しめねえよ。

って、神経がぬいてあるのに痛い気がするってやばくね。
休み明けにすぐに行ったほうがいいのか?
行くべき?

――休み明け――

「あーあ、けっこう虫歯ってるね。抜きましょうか」
「えーーーー!!」
「うん、抜くしかないからね」
「がーーーー!!」
「そうすると、入歯かな。インプラントとかする?」

 そんな金ねえし、痛そうで嫌だ。

 俺、三十歳にして前歯が部分入れ歯になった。
 妻はもう、キスしてくれないかもしれない。
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