第2話

文字数 2,226文字

創造
「作品全体のなかで一番好きなのは美しい文句で語られている箇所だ。それは記憶にとめておいてあとで利用できるからね。」---「筋の展開のじゃまにならなければぼくもそれには反対じゃない。いやむしろ、傑作にも力強い箇所はいくらもある、なんなら、傑作はそういうすぐれた箇所でできていると言ってもいいとぼくは思っている。
・すぐれたものはむろん専門家によってはじめてよく確かめられ、言うならば、はじめて合格の判子を押してもらうべきものだ。しかしすぐれたものが人間的な意味をもっているならば、それは全般的に、とくに批評などできない人々にもよい印象を与えなければならない。この両者の賛成を一身に集めたものが最高位に達したものだとぼくは思う。ラテンの諺にあるように、この二つがいっしょになってはじめて神の声と言えるのだ。
・どんな作家、どんな俳優でも、このように大勢の人に感銘を与えることができるならば、自分を幸福だと思わずにはいられないだろう。『ヴィルヘルム・マイスターの演劇的使命』ゲーテ

・パークにいる間中、お客様には現実の世界と思って欲しくない。まったく別の世界にいると感じてもらいたいんだ。
・誰でも私のように、たくさん打席に立てば良い打率を残せるようになります。だからこそ、私はプロジェクトを多角化し続けるのです。 ウォルト・ディズニー

私の思うに、これはあらゆるものを通して、ものそのものの核心にじかにぶつかり、人間、自然、芸術の真髄と思われるものに到達しようとする執心である。『一作家の宣言』サローヤン

一体物語には、誰それの身の上といって、ありのままに書くことはない。それでもいい事も悪い事も、この世に生きている人の有り様の、見ても飽きず、聞いても聞き捨てに出来なくて、後世にも言い伝えさせたい事柄を、あれやこれや、自分の胸ひとつにおさめておけなくなり、書き残したのが物語の始まりなのです。作中の人物をよく言おうとするあまり、よいことばかりを選びだして書き、読者の要求に従って、めったに世間にありそうもない悪い話をたくさん書き集めたのは、みな善悪それぞれの方面に関したことも、この世間に実際にないことではないのですよ。 
『源氏物語』紫式部・瀬戸内寂聴訳

詩を作るには、どんな題で作るにしても、何より古人の趣向を上手にくつがえすことが大切ですね。人の足跡について行くだけならば、たとえどんなに字句が巧みでも、もはや第二義に落ちてしまって、結局よい詩とは申せません。たとえば昔の人の詠んだ王昭君の詩は随分沢山あって、昭君を悲しみ弔ったものもあれば、毛延寿を怨んだものもあり、また漢帝が画工に賢臣の顔を描かせないで美人を描かせたことを謗ったものもあるというふうで、種々雑多です。ところがその後、王荊公(宋の王安石)は、
 意体は由来画(えが)き成さず
 当時枉殺す毛延寿
とやり、欧陽永淑(宋の欧陽修)はまた、
 耳目の見る所尚お此(かく)の如し
 万里安(いずく)んぞ能く夷てきを制せん
とやって、二つの詩はそれぞれ前人に見られなかった、自分独自の見解を打ち出しています。『紅楼夢』

力をも入れずして天地(あめつち)を動かし、目に見える鬼神をもあはれと思はせ男女の仲をも和らげ、猛き武士(もののふ)の心をも慰むるは、歌なり 『古今和歌集』

だから小説を書くには人生についての豊富な生活体験が必要であるといっても、それは単に世故に通ずるというだけの意味ではなくして、敏感な感受性をもって外面的生活を受け容れるとともに、自己の内面的生活、即ち精神的生活を豊富にできる資質の人でなければならないのである。『小説の構成』川端康成

書き表すときには、本質的なこと、特徴的なことだけにかぎればそれでよい。つまり、文章に書くことより、もっとたくさんのことを想像しなければならないわけだ。奇妙な、いや神秘的と言ってもいいようなかたちで、この正確な想像は、それでも読者に伝わる。 『エンデのメモ箱』

ニーナ あなたの戯曲、なんだか演りにくいわ。生きた人間がいないんですもの。
トレープレフ 生きた人間か! 人生を描くには、あるがままでもいけない、かくあるべき姿でもいけない。自由な空想にあらわれる形でなくちゃ。 『かもめ』チェーホフ

劇画にしても、おとな漫画にしても、人を感動させ、アピールするのは、自分のいちばん描きたいものをぶつけたときである。こういうときは、その人にとっても最良の作品がつくれるものだ。
手塚治虫

名人が指すのも初段が指すのも同じように見える。同じように見えて、その内蔵するものは大きく異なっている。同じ型に組み上げるにしても、その道行までの考え方はちがう。その考え方のちがいが、実は、棋力の相違というものである。『勝負のこころ』大山康晴

観客の注意力はごく限られたもので、その限られた注意力をつなぎ止めておくためには、次から次と事件を起こして見せねばならず、たえず何か目新しいことを演じて行かなければならない。『世界の十大小説』モーム

分かるように、理解できるように世界を描くと、世界は小さくみすぼらしいものになるんです。でも今、この現代に生きている人たちは、この映画を観てくださった人たちも含めて、「世界はそんな簡単な図式では理解できない」と実感していますから、説明しやすくすればするほど、その世界は嘘臭くなる。そういう問題に僕は直面して、全部説明するのをやめました。 『折り返し点』宮崎駿
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