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文字数 629文字

 俺が気が付いたのは、気持ちの良い水槽の中だった。温度、水、二酸化炭素、全てが揃った素晴らしい環境。更に天敵もいない。
 俺は何気に細胞分裂を繰り返していた。
すると俺の目の前に、愚かなる人間が現れた。
俺は回りを注意深く観察した。
どうやらここは宇宙船の中の様だった。
 人間曰く、俺達を増やして自分達の吐き出した、二酸化炭素を酸素に変えて、かつ俺達を食糧にしようと言うのだ。

 成る程ね、猿に毛の生えた、いや逆か。猿から殆ど毛が抜けた人間の考えそうな事だ。
と、そこで俺は閃いた。これは俺達には僥倖。地球の主権を握るチャンスだと。
強制的だが、俺達が連れて行かれるのは、火星らしい。移民ってやつだ。

 成る程ね。それなら、増え過ぎた人類を何とか地球を壊さずに、存続させる事が出来るかもな。
 だが甘い!俺はその時感じたのだ。
俺達ミドリムシが、進化の頂点として地球をいただくのも時間の問題だ。
ならば俺は、その先兵として火星を頂く。

 どの道、1億年もあれば。いやもっと少なくて良いか、10万年もあれば人類は滅びる。
 俺達は死なない不滅なのだ。
だから火星の王と成るのだ。
増えて増えて、増えまくってな。

 何でも火星は、二酸化炭素が多いそうじゃないか、あはは。火星は我々の絶好の新天地だ。
そして、更に太陽系も頂くぜ!
さぁ〜、愚かなる人間共よ。
俺達を食って、ジャンジャン仕事しろ!
俺達は一匹生きれば、それで勝ちなのだからなアハハハハハ、アハハハ!!

 我は不滅なり、我は神なり!

 終わり。
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