第6話

文字数 201文字

手には手を。

友人の手の方が、よっぽど汚かったから。
先生は、自分の手を汚してでも伝えたかったのだと思う。

そしてきっと、私たちが友人の肩をさすることを分かっていた。

「大丈夫?」

そう言いながら、私は友人の肩をさすった。

悔しそうに涙ぐむ友人の手は、固く握られていた。

拳のままでは何もできない。

肩をさすることも、手を繋ぐことも、誰かを慰めることも。

だから私は、友人の手を取り、固く握られたその拳をそっとほどいた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み