第1話

文字数 821文字

「じゃあねー」「じゃあねー」
「じゃあねーーー!」「じゃあねーーー!!」
「じゃあねぇぇぇぇぇ!!!」「じゃあぁぁぁぁぁねっ!!!」

離れれば離れるほど大きな声をあげて相手に届ける。
公園の近くで目撃した小学生くらいの子どものやり取り。
友だちと別れて、姿が見えなくなっても声だけはまだ聞こえる。
そんなことに気づいた子どもによる、たわいない遊び。
子どもというのは、なんでも遊びに変えてしまう発想の天才だと思った。

・小石を蹴り続けてみる
・白線しか踏んじゃいけない
・黒猫を見たら、すぐに赤い色の物を10個見つけないといけない(私だけの迷信?)

たくさんの人にそれぞれ自分だけの遊びというのがあると思う。
ちなみに私がよくやっていた何気ない遊びは、車や電車に乗っているとき、対向車とすれ違う際に両足の親指を人差し指にのせてずらしてもとに戻す、というもの。指パッチンの足版のようなイメージ。これは今でも割とよくやってしまう。
(なんか心理分析とかやったら、この行動は愛情を求めている証拠です、とかなりそうで恥ずかしい気がしてきた)

あと、マス目の道があったときには将棋の駒の「桂馬」を意識してしまう。桂馬(右)→桂馬(左)→桂馬(右)→桂馬(左)と進んでいく。

子どもの遊びや興味といえば、学校の先生や親に対して何でも聞く、質問してしまうというのもある。
この間、あるショッピングパークのトイレに入ったら、親子のこんな会話が耳に入ってきた。

パパ「うーんとねー。えっとー、三井とか三菱っていってー。そう、財閥!財閥がやってるんだよー」
子ども「ふーん。財閥ってなぁにー?」
パパ「えっとねー・・・」

その子どもは5才くらいに見えた。その幼さで、財閥について質問するとは。池上彰からもいい質問だと褒められるに違いないだろう。

ってか、そもそもどんな質問の流れで、パパさんは三井や三菱を説明するに至ったのだろう。
日本の未来は明るい――そんな気持ちでショッピングパークのトイレを後にした。
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