第1話

文字数 1,331文字

あらすじ
ドジで怪我ばかりする中学一年生の亀野すずね。女子の間では普通なイメージを持たれている彼女のあだ名は「ドジカメ」。ある時、学校のウサギが逃げ出し、すずねは探してくれと頼まれる。探していたすずねの元に甲羅にゴミ箱のついたカメがやってくる。踏まないようにと避けた瞬間、すずねは異世界に飛んでしまう。そこは体と物がくっついた、動物たちだけの世界だった。すずねはその世界で動物たちにある頼みごとをされて…?

【起】
由緒正しき学校に通う主人公 亀野すずねは、ドジで怪我ばかりする中学一年生。クラスに馴染めず、ついたあだ名は「ドジカメ」。両親から学んだ親切にする心を忘れない、人を思いながら行動する子。が、頼みごとは断りきれず、嫌なことでも受け持ってしまうほどのお人好し。ある時、学校で飼っていたウサギが逃げ出す。偶然その場にいたすずねは全匹探すことを飼育委員に押し付けられる形で頼み込まれ、渋々それを受け持ってしまう。学校中を駆け回って探すすずねの元に一匹の、甲羅にゴミ箱のついたカメが走ってくる。すずねは踏まぬようにと避けたが、使われていない掃除用具倉庫の中に入ってしまい、異世界に飛んでしまう。

【承】
異世界の町並みは、すずねが暮らす町と変わらない。ただ、人の代わりに体と物がくっついた喋る不思議な動物たちがいたのだった。口がシュレッダーになったヤギ、体が急須と一体化したヘビ。皆は口を揃えて言う。「この物の持ち主を探して」。彼らを持ち主に届けたいと思ったすずねは、動物たちの願いを聞きながら届けていく。動物たちは現実世界に来ると同時に異世界に消え、すずねに全てを託していく。すずねは掃除用具倉庫を通じて、現実世界に戻る。不思議なカメと共に、かつては動物として異世界で動いていた物たちを、持ち主に届ける毎日を送るすずね。中にはクラスメイトもいて、仲良くなり友達もできていく。

【転】
そんなある日のこと。すずねの祖母と、甲羅にゴミ箱のついた、あの不思議なカメが行方不明になる。おばあちゃんっ子だったすずねは、必死に探す。「せっかく仲良くなったのに、離れたくない!」不思議なカメの情報も動物たちに聞いて回るすずね。その必死さに心を動かされて、まだ持ち主を見つけられていない動物たちも探し始める。現実世界と異世界。一緒に探していくうちに、祖母が異世界の動物たちと仲が良かったことを知る。それを聞いて、みんなで声を張り上げ探す、すずねたち。と、今まで見つからなかった不思議なカメが突如として何も言わずに、異世界にいたすずねの元にやってくる。そしてある一つの道を歩き始める。それにすずねはついていくことにする。

【結】
それは、すずねの祖母の家への道だった。祖母がいて一安心するすずね。しかも不思議なカメのゴミ箱の持ち主は祖母だった!見つけてくれたことに感謝し、パーティーを開く祖母。「昔は私が探してあげてたんだけど、年を取るのと同時に探すのが難しくなっちゃってね」「だから次はあなたの番。あなたが動物たちの物の持ち主を探してあげるのよ」。これには動物たちも大喜び。祖母にも動物たちにも頼まれ、やがて使命感を持ったすずねは、まだ探していない動物たちの物の持ち主を探していくのだった。
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