文字数 600文字

大型の酸素自動車が、ガードレール越しの横を通り過ぎる。その瞬間、僕の靴や衣服、全身からオレンジ色の火花がハデに飛び散る。
靴も身体も、全て勝手に自己修復はされるけれど。靴底は油断してるとあっという間にすり減るので、長い影には気をつけなければ。
次に大きな影が来たら、面倒臭いけど軽くジャンプしておこう。そう思いながら、いつもと変わらない灰色がかった青空を見上げる。

いつからか、なぜなのかは今でも解明されてないけれど。この惑星はある時を境に、影に摩擦力が働くようになってしまったらしい。
さらにその後に。その状況を狙ったかのように、惑星の大きさの四分の一ほどもあった巨大な隕石が、惑星表面をかするように飛来。
次から次に来る無数の隕石たちが作り出した、見た事もないほどの大きな影による摩擦熱で、この惑星の生物たちは死滅したらしい。

生き残る事ができたのは少しばかりの植物、そして『ヒト』と呼ばれる絶滅生物たちが作り上げた『人工知能』という人工的な知性。
それを搭載させた僕たち『ロボット』と当時で呼ばれた存在だったようだ、とは自宅で読んだ歴史の教科書の内容からの引用である。
学校へは特に行かなくてもいいのだが、今日は気まぐれで登校したかったのだった。かつては毎日で通ったそうだ、とも教科書から。

もうそろそろで地下へ降りられる。地下には穏やかな影の動きの物体しか無いので、気疲れする事もない。僕は地下のほうが好きだ。
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