文字数 1,118文字

私は目を開けた。使いこなれた布団の感触。まだ部屋の中は暗い。いま、何時だろうか。
枕元に置いてある目覚まし時計で確認しようと、寝ぼけたままで体をひねり頭を向ける。
目覚まし時計の長針は10分。短針は6と7の間を指していた。つまり、6時10分だ。

6時10分……。6時10分。……6時10分!? もう6時になってしまってたのか!
早めに家を出なければならないので、この時間はもう出発の準備をしなくてはいけない。
急いで布団から抜け出すと、洗面所へと向かった。頭がボサボサだ。洗うか洗わないか。

6時半には家を出なければ間に合わないだろう。シャワーで頭を洗う選択は無しにする。
代わりにブラシで髪をとかすだけにする事にした。水でブラシを濡らし急いで髪をとく。
髪をといていると、お腹が鳴った。そういえば、昨日の昼間から何も食べていなかった。

何か少しでも食べておかないと倒れてしまうかもしれない。ブラシを置き台所へ向かう。
冷蔵庫の扉を開き中を覗く。何かめぼしい物はあっただろうか……。特に見つからない。
仕方がないのでコンビニで買う事にする。そのぶんの時間を作るために準備を急がねば。

服は何を着ていこうか。華美にならず、かといって地味すぎないように……と考え始め。
結局、何を着ていけばベストなのかわからなくなり、グルグルと軽く混乱してしまった。
ついでにお腹も空腹からグルグルと鳴り始める始末。ああ、何を着ていこうか。教えて。

悩みに悩んだ末に、ベストな服選びという事でベストを着ていく事にした。これで良し。
服を選ぶのにだいぶ時間を使ってしまった。もう10分ほどは経ってしまっただろうか。
急いで次の準備をする事にする。今度はバッグの中身だ。前の晩にしておけよと思うが。

力尽きて寝てしまったのである。自業自得、自分が悪い。バッグの中身をひっくり返す。
うん、特に問題はない。足りてないものもないし、これならバッチリである。良かった。
バッグは大丈夫だったので、そのまま床に放置。次は最後の準備、靴だ。玄関へ向かう。

結構な距離を歩く事になりそうなので、靴も慎重に選ばなければ地獄を見る事になろう。
ひも靴にしようか。でも途中でひもがほどけたら面倒だ。やはりここはひも無しの靴に。
そうこう選んでるうちに、気付くとまた時間が経っていた。まずい、もう半になったか。

時間を確認するために居間へ。しかし、壁の時計を素早く見た私は思わず目を見開いた。
壁の時計の長針は50分。短針は12と1の間を指していた。えっ……0時50分……?
ふと私の目に、枕元の正方形の目覚まし時計が入った。半回転して逆さまになっている。

1時になろうとしている目覚まし時計を置き直し、私は再び布団の中で目を閉じた。
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