シャドウマンからの挑戦状

文字数 973文字

 俺の名前はシャドウマン。

 特技は変装だ。老若男女(ろうにゃくなんにょ)、どんな人間にだってバケることができる。全くの別人になりきってみせるのが、俺の仕事なのさ。

 言っておくが、『ミッション:インポッシブル』のような変装マスクや特殊メイクは使わない。顔の作りや体格を根本から変えてしまうんだ。身長を極端に縮めたり、体重を半分で減らしたりすることだってできる。

 俺に不可能はない。

 えっ、3歳児にバケてみせろって?

 無理難題をふっかけたつもりなんだろうが、もちろん可能だ。内緒の話だが、少し前にやったことある。幼児誘拐グループを摘発するために、警察当局に泣きつかれて手を貸してやったのだ。

 どうやるかって? そいつは企業秘密だ。俺の生命線だからな。

 断っておくが、俺の正体は異星人とか妖怪とか超能力者だとか、そんなぶっとんだ話じゃないぜ。

 一つ、重要なヒントを教えてやろうか。

 世の中には、超絶スキルの持ち主がいるのさ。ただし、そいつは俺自身じゃない。俺の顔や体型を変えてしまう天才がいるのさ。わかりやすく言えば、天才医師のような存在かな。

 重大な告白をするが、俺は実は、女でもある。天才医師の技術は性別さえも凌駕(りょうが)するのさ。彼のおかげで、俺は千の顔、千の姿をもつ。

 なぁんて言っても、おまえは信じないし、たぶん笑うんだろうな。リアリティがないとか、そんな天才医師いるわけがないとか、言い出すんだろ?

 けど、俺たちの世界じゃ、結構ゴロゴロしているぜ。俺たちの世界は、おまえたちの世界と次元が違うんだ。そっちは三次元だろうが、こっちは二次元だからな。

 勘のいいヤツなら、もうわかっただろう。

 さらに、重要なヒントだ。俺の鼻は時々省略されて消えちまう。口が点だけになることも珍しくない。身体のサイズも一定ではなくて、大きくなったり小さくなったりする。何せ、ページの大きさ、コマの大きさは限られているからな。

 もう一つ言うと、俺の顔や体型を変える超絶スキルの持ち主は今、締め切り間際の修羅場というやつで七転八倒しているよ。

 ほら、これでもう、わかったろ。

 そう、俺は『シャドウマン』という漫画のキャラクターであり主人公なのさ。

                   了
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