第1話

文字数 2,000文字

通勤電車内。車窓から霧の濃い風景が流れる。小雨あり。冬の季節に連絡を与えて。カラフルな球皮が見える。

孝輔「(熱気球だ。今日は無理だよ…いや、それで良いのか?)」

北口駅前。完成している開発は予感させて。街の役場から依頼者。移り変わる地域の景観を捉えて?って。熱気球を眺め続けた。

若い女性「水曜日位からの、もんやでっ♪」

同じ車両に教えてくれる若い女性。熱気球を眺める僕に。今日は金曜日。バスケットにあるガスバーナーが時折炎を上げる。高度を保とうとプロパンシリンダーの捻り摘まみを操作して。ダンプバルブも調整している。

孝輔「(今日は無理だよ…で良いかな?)」

諦めたくて止める。の警報かなんか出てくれよ?って。計器類を眺めているのか?着込んだはずの防寒着が時折、冷えた風の流れ…感じなくもない?はずだ。トレールロープは見えない距離で。

孝輔「(電車内から皆が観てるって知ったら…勇気出るかな?)」

紗織「再婚は考えていないんです」

あの電話の意味。濃い霧の中、体温が戻らない。ちょっと待って下さい。と感じては待ってなくていいです。分かりやすい混在する言葉になるように。なるのか?

孝輔が持っている予感は蓋をした方が良いんじゃない?って伝えられたのかも?

紗織が平然と、それは冷静に。孝輔のデスクの裏を通りすぎた時の事。孝輔は上司からの指示で写真立てを、ちゃんとデスクに用意していた。

紗織「一緒に居れなくなるよね?」

栞里と一緒に映る写真立て。眺めるデスク近く通った後に笑顔混じりので、伝えてくれた紗織。その距離で良いんですよ?そういうんじゃないですよ?

眺めて?続けたいだけかもしれないし。持ち帰らなくていいです。

孝輔「いいなら、いいけど?」

電車内で言葉を発してしまっていた。呟きレベル。思い返していた。咲良は美容系の専門学校に行った後、同業の仕事に就いた。

そういえば小山んちの猫。いいなぁ~?あんな悪戯。しないよね?普通の猫はね?家主が帰ってきた時にはドアロックしちゃう。独身の僕らにスパイス入り環境を与えてくれたんだろ?の、電話で伝えてくれた会話を思い出した。

小山「猫がさ?ドアロックしちゃうって事件があってさ?」
孝輔「何それ?面白いね?フフッ」

小山「無いって思ったろ?証明してくれる後輩が居るんだよねぇ~?フフッ」
孝輔「キャハハッ。疑ってはいないけどね?」

小山「桜庭って言ってさ?サクちゃんって呼んでるんだけどね?日頃はね?」
孝輔「いや、知らないけど。そっちでも友達出来たなら…いいじゃん?」

小山と孝輔「…」

孝輔「栞里で頭が一杯だからさ?こっちはさ?」
小山「会えてんの?」

孝輔「毎日は会えて無いけど休日にご飯は食べに行くよ?」
小山「うちよりましか?」

孝輔「東京行っちゃうからだよ?」
小山と孝輔「…」

小山「浮気はしていない」
孝輔「聞いて無いけど?逆にいんの?」

小山「無いな」
孝輔「猫、貰った位だよね?フフッ」

小山「お台場で拾った猫らしくってさ?」
孝輔「だいぶ、ややこしい」

小山と孝輔「キャハハッ」

小山「名前を考えててさ?」
孝輔「へぇ~?いいじゃん?何にすんの?」

小山「なんかさ?振り向いてくれた名前?気に入ってくれている名前にしたくってさ?そういうのがいいんじゃん?そういうのの方が?」
孝輔「それは…俺が、入る余地無いなぁ~?」

小山「そっか。決まったら連絡するよ?」
孝輔「キャハハッ。でもそれ、時間かかりそうだな?」

小山「まぁな?気長に。試してみるよ?」
孝輔「そっか」

最寄り駅に着いて。出口近くに向かった。

同じ車両の熱気球の事を教えてくれた若い女性は見てくれて居る…。

若い女性「そっちから降りるんやぁ~?」

少し寂しげなボリュームで、本気か分からない感じで?伝えてくれた。若い女性に振り向いて会釈を返して。ありがとうってした。

孝輔「翔太…名前…何にするんだろう?」

勤務先に向かった。ある筈もないそれが転がっている業界で。

孝輔「本当のって…何?」

考えながら、その場。その場のそれしかない。みたいので。僕は本当に楽しいのかな?って。誰に向き合っている?

孝輔「栞里が…居ればいいよ」

誰に聞かれるでもなく。呟いていた。呟いていた事で…。僕だけじゃないし。言い直して。遅いのか…遅くないのか…。

栞里も別業界に就職した。違う親近感に寄り添う栞里だよ?って。学生時代じゃない関係性に理解して慣れてきた。

孝輔「やっぱ。遠いじゃんよ…」

そういうものかな?感情のそれを分かち合ってくれない…。今まで同じ感情でいてくれた。呟いていたと、呟いた。聞いてくれる。その存在では無くなってしまっていたんだなって。

紗織「持ち帰ったらあかんのやで?」
矢田と孝輔「お疲れ様でーす」

咲良はモデル体型で綺麗なのに?そっちからだったら?小山と一緒に暮らせているんじゃ?

余計な、思いと言葉を黙っておこう。その思いに至る頃には警備員さんが来そうな時間帯になっていた。
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