第1話
文字数 1,417文字
はい、こんにちはＡ＆ＢのAくんです。よろしくお願いしま～す。
ちょっと待てや。なんでお前がＡくんなんや。……ほな、わしがBくんかい？
ええやんか、しょせん名前なんて記号や。わしが、Aくんで、お前がくそったれのBでも、お前がびびりのBで、わしが人気のAくんでも、どっちゃでもええやんか。
おんなじや！けっきょく自分がええ方やんか。
こまかいこと気にすんな。大物になれへんぞ。人間中身や。お前は中身がええ。
そうか？
そうやぁ、お前は中身がええ。わしは顔がええ。
こらぁ！
平等やろ？ お互いええとこほめあうのは美しい。美しい友情やな。
お前と話しとったら疲れるわ
ところで、最近、腹立つことあんねん、聞いてくれるか？
なんや、言うてみぃ。
人間がコンピュータに使われとる。なっさけないと思わんか？
そりゃまあ、コンピュータ社会やから、そういう面もあるやろ。なんに腹立っとんねん？
コンビニ。……行ったことあるかぁ？
あるわぁ～！！ いまどき、コンビニ行ったことない奴なんておるんか！？
お前知っとるやろ、わし、たばこ吸うんや。
絶滅危惧種やな。野蛮人、社会の敵。
お前、ここぞとばかりカタキ取っとるやろ。喫煙者にも基本的人権はあるんや！高っかい税金払わせられとるんや！
でも、ひとに迷惑かけるやんか。受動喫煙とか……。
だったら、そのうわまえはねて、政府が税金取るな！ あらゆる差別はいかん言うときながら、喫煙者の差別だけは奨励しとるやないか！ いっそのこと、禁煙法を作れ～！ たとえ税金取れへんでも、真剣に国民の健康を考えますって態度で示せ！
本気で言うとんのか？ 禁煙法できてもええんか？
いや、……それはちょっと困る。
こら～っ！ 偉そうにさんざん言うときながら、簡単に自分の主張を曲げるな。
……ごめん
で、それが、コンピュータとなんの関係があるんや。コンビニとなんの関係があるんや。
そうそう、何言うか忘れとった。ははは。
“ははは“やないわ。自分の言うことくらい忘れるな！
コンビニで酒とかたばこ買うと、「私は２０歳以上です」って出て、タッチパネルにタッチさせられるやろう。
うん、まあレジにもCPUくらい入っとるやろつから、コンピュータって言ったらコンピュータかな。わしはたばこは買わんが、酒とか買ったら、確かにトシ確認されることあるわな。
わしが１８歳に見えるか？ お前がＪＫに見えるか？ ええっ！
何でそこにＪＫが出てくんねん？ 20歳未満の人には酒やたばこは売りませんというコンビニの姿勢やろ。
見たら分かるやろ！
ま、大体はな。でも、ふけた未成年もおるやんけ。
こないだなんか、８０歳くらいのじいちゃんにもタッチさせとったぞ。あれ、見たらわからんのか？ じいちゃん「わしは、未成年に間違えられるほど若くみえるんか」って喜んどったわ。
ええやないか。じいちゃん、勘違いでも、気分良くなって帰ったんやろうが。
じいちゃん、勘違いして、若い女くどいて「エロじじい～っ！」って騒がれて警察に捕まったら、コンビニ、どないに責任取るんや！ ４０年間、毎日毎日たばこ代と昼飯代の千円札をにぎりしめて出勤し、こつこつと働いてきたんや。それなのに、痴漢で警察に捕まったら可愛そうやないか。はずかしくて町歩けんいうて、嫁は息子と孫を置いて家出してしまう。孫は学校でいじめられ……。うぅ、うう。
泣くな！ どこのじいさんの話しとるんや。
未来のお前や！
ええかげんに、せい！
はい、A＆Bでした。
はい、A＆Bでした。
