shiawase
文字数 611文字
「諦めろ。お前が何をやっても無駄だ。この都市は滅びるだろう。
この星は滅びるだろう」
キラキラと夜空が輝いて、流星が明るく一帯を照らすと街が一つまた一つと姿を消していった。
涙を流した人間が二人、立ち尽くしその光景を眺めていた。
満面の笑みでそこら中を駆け回るオーシェ。
涙で頬を濡らした二人の人間は、オーシェの手を握り肩を抱いた。
上空に留まっていた宇宙船は空に吸い込まれ姿を消した。
天使が一体空に浮かんでいた。手の平から眩い光を放つと地上は閃光に包まれ全てが終わった。
人々は皆笑顔で光に包まれた。漆黒の肉体を手に入れた人々は天国を創造し始めた。
「この苦しみがきっと幸せの証なんだね」
オーシェは叫んでいた。オーシェは泣いていた。
人々は田畑を壊し、空に向かって呪いを吐いた。
神々はその星を去っていった。
大気と重力は失われ、瓦礫と化した惑星は宇宙を彷徨った。無数の宇宙船団が、瓦礫と化した惑星の欠片を集め新しい星を創った。
「今回は失敗するでしょうか」
オペルナは笑った。誰も何も言わなかった。
船内は静寂に包まれ、オペレーターのキーボードを叩く音とコントロールパネルを調整する音だけが聞こえた。
赤ん坊の笑い声が聞こえる。
赤ん坊は大人を殴る。
大人は赤ん坊を睨む。
赤ん坊にナイフを突きつける大人。
その先は誰も想像したがらない。
テレビの電源をオフにしてそろそろ寝ようか。
きっと明日もいい日になる。それを願って床に就こう。きっと明日は幸せになれる。