第1話

文字数 868文字

ここは、異形学園 学生寮。

今日も個性豊かな異形の仲間たちは、常時トラブルを起こし揉め事が絶えません。

そんな彼らをまとめ、管理するのが、私たち、異形学生寮管理委員の仕事です。

おや、また誰かが揉めているようですね。

ちょうど良いですし、私たちの仕事を実際に見せましょう。

まあ、まずは見て慣れろってわけです。うふふ、うふふふ。_________




______「へっほぉお、ふぁんふぁほーへぇ。(えっとぉ、がんばろーね。)」

___彼は舌流蘭擬 けなげ(げさらぎ けなげ)。
僕の親友であり、この学生寮の同じ部屋で生活している同居人だ。彼はいつも舌の真ん中ら辺に何かしら突き刺さっているため、うまく話せなくていつもあんな喋り方だが、僕は、長年一緒にいるからか、聞き取れる。

「いや、無理でしょ。」

___そして、このように悲観的な思考の持ち主であるこいつが、自分である、腹飼 ハナゴ(はながい はなご)だ。
僕の胸あたりで小動物がありえないくらいの速さで震えているのがわかる。今日はうさぎか、と、ため息をつきながら自分の肋骨に囲まれて震えている動物を落ち着かせるために宥めながら、再度ため息をつく。

「よしよし。こわいのかい?
 ___僕もこわいんだ。だって初日からあんなのを見せられるなんて...」

そして、先ほどやっと見るのを解放された地獄絵図を頭の中でふんわりと思い出す。

いやに丁寧で物腰柔らかな先輩の、陶器でできたかのような白くて綺麗な指の、その先に生えた太く長い、牙のような針。 その恐ろしい針が事の発端の生徒たちに容赦なく突き刺されていく___

うわぁぁ!やっぱり無理! 1年の頃に入っていた取締委員会の方がまだまし。あれも結構きつかったけど、、、

「ふぁあ、ふぇんふぁいふぉほふぉふぁへぇひふぁふへぇいいっふぇいっへぇふぁひ。ふぁんふぁほ!(まあ、先輩もそこまではしなくて良いっていってたし。がんばろ!)」

「けなげくん、、。...よぉーっし!がんばるぞー!」

「ふぇいふぇいふぉー!(えいえいおー!)」

そうして、二人の、委員会生活が、幕を開けるのであった。



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登場人物紹介

主人公。腹飼 ハナゴ。真面目で少し臆病な性格だが、持ち前の運の悪さと、幼馴染であるけなげくんのお願いには断れないことで、危ない委員会に入ってしまう。肋骨にいつも動物が入っているという異形を持つ。心象によって入っている動物は変わるのだとか。

主人公の幼馴染。舌流蘭疑 けなげ。いつも舌に何かしら刺さっているため、普通には喋れないが、幼馴染であるハナゴくんが理解できてるならそれで良いと思っている。両親はこの学生寮の責任者で、学生のために料理を作ったりなどしている。

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