第1話
文字数 1,010文字
まぶたを開けると、花びらが舞っていた。
私は今どこに立って、何をして、何を思い、ここにいるのか、にわかにわからなかった。
たしかに立っているのに、浮いてるみたい。歩いているようなのに、止まってるみたい。
ただあたりでは色とりどりの花びらが気ままに踊っていた。
ひらりひらりと舞って、ふわりふわりと落ちていく。どこからともなくやってきて、どこへなりとも旅をする。
一体何のお花だろう?わからないけれど、きっと可憐ですてきなお花でしょう。
歩いても歩いてもずっと同じ景色。気の遠くなるような長い道のり。周りに壁は見えないのに、かすかな圧迫感があってどこか息苦しい。
そう、これはきっとトンネルだ。私はいつのまにか長い長いトンネルに迷い込んでしまったんだ。
けれどもなぜか暗くはない。明かりがないのに明るくて、宝石みたいな花びらたちが私をピカピカ照らしてくれている。
しばらく歩いていると、どこからか大きな龍がうねるような強い風が吹いてきた。花びらが一方向へと連れて行かれる。
「こっち。こっちだよ」
はじめて聞く声なのに、どこか懐かしくてあったかい。
すい寄せられる。行かなきゃって体が動く。
気づくと足はどんどん加速して、小走りで呼ばれる方へと向かっていく。
「そう、そうだよ。こっち」
不思議。心が躍る。
この先に何があるのか、何が私を待っているのか、何もわからないのに。
どうしてこんなにわくわくするの?
突然目の前が光りはじめた。カーッとまぶしくなって、思わず目を細める。
それでも歩みは止まらない。走り出したこの気持ちが私を駆り立てる。
もうすぐ、もう少し、あとちょっと……!
「うん。よく来たね。もう大丈夫だよ」
あたたかい声が響いたら、あたりは一面の花畑だった。
色とりどりの、さまざまな形のお花が咲き乱れていた。それらの花びらが、まるで何かを祝福するように風に乗って、ふわりふわりと飛んでいた。
ああ、これだったんだ。あのトンネルの中で舞っていた花びらは。
この鮮やかな空のもとの虹のような花々が、私を呼んでいたんだ。
息が切れていない。むしろとても穏やかで心地よい。閉塞感ももう感じない。
きっと、トンネルを抜けたんだ。
振り向くと、ガタガタだけどひたむきな足跡が続いていて、トンネルの出口がこちらを見つめていた。
私はその場て見つめ返し、「ありがとう」とつぶやいて前を向いた。そうしてまた、歩みを続ける。
きっとこれは、そう遠くないやさしいやさしい未来の夢なのだ。
私は今どこに立って、何をして、何を思い、ここにいるのか、にわかにわからなかった。
たしかに立っているのに、浮いてるみたい。歩いているようなのに、止まってるみたい。
ただあたりでは色とりどりの花びらが気ままに踊っていた。
ひらりひらりと舞って、ふわりふわりと落ちていく。どこからともなくやってきて、どこへなりとも旅をする。
一体何のお花だろう?わからないけれど、きっと可憐ですてきなお花でしょう。
歩いても歩いてもずっと同じ景色。気の遠くなるような長い道のり。周りに壁は見えないのに、かすかな圧迫感があってどこか息苦しい。
そう、これはきっとトンネルだ。私はいつのまにか長い長いトンネルに迷い込んでしまったんだ。
けれどもなぜか暗くはない。明かりがないのに明るくて、宝石みたいな花びらたちが私をピカピカ照らしてくれている。
しばらく歩いていると、どこからか大きな龍がうねるような強い風が吹いてきた。花びらが一方向へと連れて行かれる。
「こっち。こっちだよ」
はじめて聞く声なのに、どこか懐かしくてあったかい。
すい寄せられる。行かなきゃって体が動く。
気づくと足はどんどん加速して、小走りで呼ばれる方へと向かっていく。
「そう、そうだよ。こっち」
不思議。心が躍る。
この先に何があるのか、何が私を待っているのか、何もわからないのに。
どうしてこんなにわくわくするの?
突然目の前が光りはじめた。カーッとまぶしくなって、思わず目を細める。
それでも歩みは止まらない。走り出したこの気持ちが私を駆り立てる。
もうすぐ、もう少し、あとちょっと……!
「うん。よく来たね。もう大丈夫だよ」
あたたかい声が響いたら、あたりは一面の花畑だった。
色とりどりの、さまざまな形のお花が咲き乱れていた。それらの花びらが、まるで何かを祝福するように風に乗って、ふわりふわりと飛んでいた。
ああ、これだったんだ。あのトンネルの中で舞っていた花びらは。
この鮮やかな空のもとの虹のような花々が、私を呼んでいたんだ。
息が切れていない。むしろとても穏やかで心地よい。閉塞感ももう感じない。
きっと、トンネルを抜けたんだ。
振り向くと、ガタガタだけどひたむきな足跡が続いていて、トンネルの出口がこちらを見つめていた。
私はその場て見つめ返し、「ありがとう」とつぶやいて前を向いた。そうしてまた、歩みを続ける。
きっとこれは、そう遠くないやさしいやさしい未来の夢なのだ。