第1話
文字数 609文字
今年は憂鬱な里帰りになるだろう。私の友人も味方も一人もいないで故郷へ帰るのだから。家族にはまだ仕事を辞めたことを伝えていない。私は怒鳴られに故郷へ帰る。こんなことを思いながら、私はの電車の切符を車掌に渡した。
最初に窓に映る景色はまだ街の色を残していて、私の憂鬱は加速していった。その街のいたるところに私の嫌いな人間と私の嫌いな怒鳴り声があるのだから。
次に映ったのは郊外の住宅街の景色だった。ここにはかつて私が住んでいた家がある。築50年のボロアパートで私の右隣の人は腰を悪くしたおじいちゃんだった。たまに介護をしてあげるとお礼にケーキやお菓子などをくれていた。私が越してきた3年後に亡くなった。右隣は空き室だったがよくない噂があって日々恐怖していたがおじいちゃんがなくなってからは恐怖心が薄れた。
今度はわたしの訪れたことのない田舎の町が映った。私はこの町が好きだ。自然と人間が互いに助け合っているこの町が好きだ。時間があれば訪れたいと思っていた町だった。しかし、日常がそれを許してくれなかった。今も次の乗り換えの電車がなかったらこの町の駅で降りていただろう。運のない自分を嘆きながら、電車はこの景色を遠ざけてゆく。
次の駅で私は降りる。その駅は少しさびれている。そこに付随する町もまた少しさびれている。この町はかつてないほどのノスタルジックを感じさせる。私の好む静けさと私の好む騒がしさを兼ね備えているのだから。
最初に窓に映る景色はまだ街の色を残していて、私の憂鬱は加速していった。その街のいたるところに私の嫌いな人間と私の嫌いな怒鳴り声があるのだから。
次に映ったのは郊外の住宅街の景色だった。ここにはかつて私が住んでいた家がある。築50年のボロアパートで私の右隣の人は腰を悪くしたおじいちゃんだった。たまに介護をしてあげるとお礼にケーキやお菓子などをくれていた。私が越してきた3年後に亡くなった。右隣は空き室だったがよくない噂があって日々恐怖していたがおじいちゃんがなくなってからは恐怖心が薄れた。
今度はわたしの訪れたことのない田舎の町が映った。私はこの町が好きだ。自然と人間が互いに助け合っているこの町が好きだ。時間があれば訪れたいと思っていた町だった。しかし、日常がそれを許してくれなかった。今も次の乗り換えの電車がなかったらこの町の駅で降りていただろう。運のない自分を嘆きながら、電車はこの景色を遠ざけてゆく。
次の駅で私は降りる。その駅は少しさびれている。そこに付随する町もまた少しさびれている。この町はかつてないほどのノスタルジックを感じさせる。私の好む静けさと私の好む騒がしさを兼ね備えているのだから。