妹と私と女子高生

文字数 758文字

 女子高生。かつて私も妹もそうであった。

 膝上のスカートにイーストボーイのカーディガンを着て、ブルーやピンク、黄色のYシャツは校則違反かどうかを教師と議論する。女子高生であった。

 中学のときは許されなかったラインのはいったカーディガンもパーカーも許される。携帯の持ち込みも、漫画の貸し借りも自己責任で許された。

 色付きYシャツは、ブルーのみ許された。

 テレビ番組や雑誌で「女子高生に大人気!」と紹介される都内のカフェに、交通費や部活を理由にして行かない、関東の女子高生であった。

 地元でなんとかなるし!は私達の強がりを含めた合言葉であった。

 実際どこまでを地元と含めるかでなんとかなるかどうかはかなり違った。
 市内全域を地元とすればそこそこなんとかなるといまだに思っている。

 公立高校生の地元感覚は基本的に狭い。全員広くても同じ県内から来ているから。最寄り駅や使う沿線が同じでないと地元が一緒と言えるようにはなかなかならない。

 これが私立とか、県外からも生徒が集まるような学校であれば話は別かもしれない。

 しかし私は公立高校だった。
 結果、地元感覚は最寄りから3駅までくらいしかない。
 そもそも、高校がバス通学だったので電車に乗りなれていない。
 5駅乗ると遠くまで来たなと思っていた。
 乗り換えは未知の領域で、緊張で部活の遠征では不安で早くつきすぎていた。 


 今では乗り換えで緊張しなくなったし、都内にも何も考えずに行けるようになった。
 電車は寝過ごすととんでもないことになることも学んだ。


 私が高校を卒業したときに妹は言った。


 「あねちゃん、女子高生って大きな生き物なんだよ。私達はね、女子高生を作る細胞の一つなの。卒業は女子高生の代謝なんだよ」


 卒業は女子高生の代謝。


 そうか、私は女子高生の死んだ細胞なのか。
 
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