第1話

文字数 280文字

美しい夕日が

空間を照らす



ビルのかげから

列車の頭が顔を出し

がくんと制動をかける



小高い土手の上を走る列車は

背の高い駅舎に

ゆっくりと

惰行ですべりこみ

しずかに

停止位置にとまる



うちゅうの

時間からすれば



誤差にもならない

特異点



この瞬間なら

列車とのかけっこに勝てる



わたしは

駅までの惰行運転と停車時間の何十秒かで

この子においつけると

確信してる



ともだちと競うように

列車と並走し

停車時間も利用する



あきらめなければ

ぜったい

とどく



改札をスパコーンとかけぬけ



心臓やぶりの階段を昇れば



ほら



なつかしい

扉が閉まって

チン



なる音







きらきら光る川面を道連れに



山を回り込めば

鉄橋だ





今日はどこへ行こうかな





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