第1話

文字数 933文字

『フラッフィー・ローズの花屋さん!』

起)北野ふわりは小学五年生、ごく普通の女の子。ある日ママのおさがりでもらった服のポケットに、『フラッフィー・ローズ』の名札が入っていた。その名札をつけたふわりが扉を開くと、そこは花があふれる不思議な花屋だった。その上ふわりは憧れていた大人の姿になっている。しかし店主がいないとこの花たちはいずれ枯れてしまうという。ふわりは人語を喋るおしゃまな看板猫のティティと、物静かで美しい花瓶の精霊シロタヅと共に花屋さんとして働くことになる。

承)この花屋の花はその花言葉に応じてお客さんを手助けしてくれる。ふわりはティティやシロタヅに助けてもらいながら、「いつも頑張っている自分への贈り物をしたいお姉さん」や「喧嘩した友だちに謝りたい男の子」、「飼い主に感謝を伝えたい犬」などにぴったりの花を選んであげる。

転)しかしある日、「浮気して別れた恋人を不幸な目に遭わせたい」というお客さんが現れる。お客さんの願いを叶えるのが店の役目だが、花を使って人を不幸にするわけにいかないと悩むふわり。そこに『グローリー・ローズ』と名乗る美女が現れて、どちらがそのお客さんを満足させられるか、店を賭けて勝負を挑んでくる。勝てる自信がないふわりだが、お客さんが床ばかり見ていたことを思い出しながら色々と考える。
 
結)グローリー・ローズは不幸を願うスノードロップやマリーゴールド、アザミのきらびやかな寄せ植えを、ふわりはやさしいピンク色のニチニチソウの植木鉢をお客さんのために選んだ。ニチニチソウの花言葉は「楽しい思い出」。ふわりはお客さんに、きっと楽しい時間もあったはずであることを思い出してほしい、そして悲しみや苦しみに囚われずに前を向いてあなただけの道へと歩き出してほしいと話す。お客さんはそこでようやく顔を上げ、きれいな花々やまぶしい太陽に気づくことができる。
 ふわりは勝負に勝ち、グローリー・ローズは姿を消した。ふわりが家に戻ると、ママの胸にきらりと光る名札が。実はグローリー・ローズの正体はママだったのだ。ママは「これなら安心してあなたに店を任せられる」と笑い、ふわりはこれからも『フラッフィー・ローズの花屋』でお客さんに花を選ぶことになったのだった。
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