言い伝えの彼方へ

文字数 1,814文字

 季節は冬。雪が、細かい雪が降っている。外を人間と鳥が話ながら、歩き、飛んでいる。人間はカカという男の子で青い海の目に白い雪が綺麗に見えている。サラサラした金色ヘアに雪がパラリと降りて、キラキラしていた。白い厚底スニーカーを履いている。紫シャツの上から、黄色のジャケットを着ていた。紫色のズボンは歩きやすそうだ。鳥はハネという名のオオコノハズクで、オレンジの瞳がパッチリしている。羽の茶色に雪があったりなかったりしていた。人と鳥は飾りみたいな物を身につけていた。カカは、右手の手首回りに白と青でキラキラしている何か、ハネには、首回りにカカと同じ白と青でキラキラしている何かがある。
「もうすぐ水面に着くよ、カカ。」
とハネは、カカに言った。
「話してたら、すぐだね。」
とカカは、ハネとの会話を楽しんでいたと見れば気付く、笑みを浮かべていた。
 ハネとカカは、会話から、水面に向かっている事が明らかだ。目的地に向かっているのは、宝探しをハネとカカがしているからである。カカは、ハネの知る言い伝えの宝をすぐ見つけたいと思っている。ハネは、カカの思いが理解出来ているかに見えるオオコノハズクであった。ハネは、オレンジの目の動作で表情の豊かな鳥のオオコノハズクでもある。笑い声が、オオコノハズク特有のウォッ、ウォッと笑う事が多い。カカは、わくわくしながら言った。
「言い伝え、色んな話教えて。」
「このキラキラ使える。」
とハネは飾りのキラキラについて、カカに伝えた。宝探しの旅は本当に楽しみあふれる。カカは、すごい喜んでいた。言い伝えの宝探しは、カカだけでは大変だ。
「このキラキラしたのは何に使うの?」
とカカはハネに尋ねると、ハネは言った。
「何もなく無事に宝探し出来る為の物だ。」
「そうなんだぁ。なかったら大変なの?」
「うん。試したトレジャーハンターは宝探しで苦戦して大変だったと言われている。」
「試したの?」
「何でだろうね。何が起こるか知りたかったんだろう。」
「そんな人がいるなんて…。」
とカカは言いながら、ケラケラ笑っていると、ハネも笑い出した。
「信じられないけれど、そう聞いた。宝を告げられ、宝を知る者がトレジャーハントの様子をじっと、眺めてたんだろう。」
「それから、トレジャーハンターは宝を見たの?」
「仲間が必要だとトレジャーハンターは言ったらしい。それだけで、宝をトレジャーハンターが手にしたか、知られない方針の言い伝えだと言われていた。」
 そうカカとハネが言っている間に目的地の水面に着いた。楕円の水面で、鏡みたいである。近くにある葉の色で緑色の水面にも見えた。エノコログサとトチカガミ、ヘラオモダカ、ヒルムジロ、ミクリ等の緑の単子葉類がそこにあった。緑の間にポツンと白が綺麗に見えたのも中にあった。
「ここでトレジャーハンターは暗号解きをしたんだ。」
とハネは言った。
「それで!?」
とカカはキラキラ目を輝いて言った。
「時間かけても暗号が読めなかった。」
「暗号解きは難しいの?」
「このキラキラがあれば、いいんだ。トレジャーハンターはキラキラの存在を知らないまま宝探しを続けようとしたと伝えられている。」
 カカは水面をじっと見た。水面は緑と水の色でキラキラしていた。
「水面の中へ行こう。」
とハネが言うと、カカは驚いて言った。
「行けるの!?」
「水みたいに見えるだけなんだ。この水面。」
「水じゃないの?」
「水の粒の集まりはある。空気みたい。」
 神々しい水面にも見える。この場をカカは見るだけで嬉しかった。ザワザワと木の葉の揺れが聞こえてきたのも、心がわくわくするもので、より神秘的な空気となった。
「息をしたまま、水面に行けばいいんだね。」
とカカは言うと、ハネは笑って言った。
「そうだ。それから、トレジャーハンターは暗号を考えていたら、いつの間にか水面へ向かっていたらしい。」
 そう言いながら、カカとハネは水面の数ミリ前に来ていた。カカは水面へ片足を踏み入れた。その途端、滑り台を下りていくシュルルルルと音がした。カカには、滑り台は見えなかった。しかし、カカは滑り台を下りている感じであった。隣にはハネが常にいた。ピタリとカカは着地をした。厚底を履いていて何もなく着地出来たのは、すごいと少しカカは思っていた。カカの目には、緑と青のイルミネーションが入っていた。この冒険でハネとの友情がもっと深まる事をカカは祈りながら、歩いて行こうとしたのだった。




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