第1話前書き

文字数 680文字

 この物語を書いているうち、あまりにも多くの方の人生に影を落とす戦争の犠牲になっている方々を思わずにはおれませんでした。

 10年程前のことです。学徒動員されて広島で被爆されたご婦人と話をしたことがあります。
 彼女はずっと被爆したことをお子さん達にも黙っておられたようで、晩年に打ち明けそうです。幸い顕著な被爆の被害はご本人にもお子様方にも出なかったのです。
 今は亡き私の父も学徒動員され工場で働いていました。父は「半年戦争が続いていれば戦死していただろう。死んでいった従弟たちを思うとき、一生結婚しないと決めていた。」と話してくれたことがあります。そのころ中学生になった私は父に冷淡でした。今思うと、「お父さんがいたから君が生まれたんだよ。」と言いたかったのかもしれません。当然のことのように思っている私たちの命は偶然与えられたはかないものなのかもしれません。
 この物語を書きながら、SNSなど報道で目の当たりにするウクライナの人々のこと、とりわけ亡くなられた人々のことを思わずにはいられませんでした。
 物語では戦争中の様子、原爆が落ちた当時の様子などの記述があります。筆者が祖父母、父母に聞いた話なども参考にしています。勉強不足と感じられる点も多いと思います。戦争を体験した方々はずっと当時のことを黙っておられたようです。年をとられて残しておくべきだと語って下さる方も多いです。我々は出来るだけ多くの方の思いを残すべきでしょう。
 私は自分達の生活圏の事だけを考えがちでした。広く目を配ると戦争は地球上のどこかでいつもおこっていることに気付いて愕然とするです。
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