終羽

文字数 1,094文字

「もうこりごりだよ これで何回目?毎度違う警官が来るしうんざりだ」
「まぁまぁそう言わないでよ天才探偵さん」
「僕まだ17だよ?」
「へっへー アタシ28」
「ドヤ顔するなよお姉ちゃん」
「ほらほら犯人はどれ?妖精は誰に集まってる?」
「どうせお姉ちゃんも妖精なんて信じてないんでしょ」
「いやいや信じてるよ 悪い奴に惹かれる小さな子達のことでしょう」
「僕もよくわからないけどさ、犯罪の匂いが大好物らしいんだよね」
「それって写真でも匂う物かしら」
「僕達もなんとなくわかるでしょ TV見ててもなんかこの料理美味しそうだな~とか思うじゃない」
「なるほどなるほど メニュー見て選んでる感覚なのか」
「ほらやっぱり半信半疑」
「だってそうでしょう 大人は誰も見えやしない」
「子供でもほとんど見えやしないよ 僕がいた孤児院でもお兄ちゃんしか」
「なら私にも見えるかも 私も孤児院出身だし」
「ふーん で?こいつらが今回の犯人候補? 毎度みんな悪そうな顔写真だね」
「大人なんてみんな悪人よ」
「てかお姉ちゃん香水キツイから離れてくんない?」
「グッ!いきなりなんてこと言うのよ! レディーに向かって失礼なガキね」
「集中できないからどっか行ってよ それかせめてもう3歩後ろに下がって」
「はいはい おこちゃまにはこの大人の色気が理解できないのね可哀想に」
「……う~ん お姉ちゃん、コレ本当に犯人いる?」
「と、いいますと?」
「いつもみたいにワーッと集まってこないんだ」
「なにそれいつもってどんな感じ」
「犯人の顔写真に妖精が群がってくるの そうだなぁ、まるで越冬するために集まったアサギマダラのように」
「言い得て妙ね」
「だからお間抜けな警察は真犯人を見逃して、全くの見当違いな方向に捜査を進めている これが僕の推理だよ」
「ダッハッハッハッハッ 大の大人が情けないねぇ!」
「だからとっとと帰ってちょうだい」
「ホントかな~? お姉ちゃんが邪魔だから嘘ついておっぱらおうとしてな~い?」
「いままで本当の事しか喋ってないでしょ 僕のおかげでいくつの事件を解決できた?」
「じゃあ本当に、この中には犯人がいないのね?」
「本当の本当に、この中には犯人がいないです」
「よかった~! じゃあそんな正直な少年に、1つ良い事を教えてやろう」
「どうせろくでもないことでしょ」
「妖精は香水の匂いを嫌う」
「……え?」
「シトラス系のキツイ匂いが一番効くわよ」
「ちょっとお姉ちゃん!!」
「じゃあね少年 もしまた会ったらその時はよろしく~」
笑顔で手を振りながら去っていく婦人警官
その周囲には、興味深そうに近寄ろうとしては匂いにやられて急に離れる妖精の群れが集まっていた
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