ルルーひめときんのうろこ

文字数 1,624文字

 うみのそこに、にんぎょのくにがあることをしっていますか。
 そのくにのおひめさまのなまえは、ルルー。
 ルルーは、とてもめずらしいきんのうろこをもっていました。
 ひゃくねんにひとりといわれるきんのうろこは、それはたいそううつくしいのです。
 おうさまもおきさきさまも、むすめであるルルーがきんのうろこをもっていることは、すばらしいことだとおもっていました。
「きんのうろこを、たいせつにするんだよ。」とおうさまはいいます。
 ルルーは「はい、おとうさま。」とすなおにこたえました。
 おきさきさまは、ルルーのおびれをなでながらこういいます。
「すてきなうろこね、ルルー。
 あなたがやさしさをもちつづけたなら、きっとこれいじょうのすばらしいうろこになるでしょう。」
「まあ、おかあさまったら。
 きんよりもうつくしいものなんてないわ。」
 ルルーはほめられてばかりいたので、きんのうろこにじしんをもっていました。だから、おきさきさまのことばにはクスクスとわらっていたのでした。
 まいにちさかなたちをからかってあそんでは、べんきょうやおてつだいなどはせずに、きままにくらしていました。

 あるひ、にんぎょのくににだいじけんがおきました。
 にんげんがのっていたおおぶねがこわれて、がれきのやまがうみのなかにおちてきたのです。
 にんぎょやさかな、ちいさないきものたちはにげまどいます。
 ルルーはそのこんらんのなかではぐれてしまいました。がれきをよけるために、おおきないわやまにかくれました。
「こわいよ。おとうさまもおかあさまも、どこにいるの。」
 そのとき、しくしくといわやまのそとからなきごえがきこえてきました。
 そこにはがれきにぶつかってけがをしたこざかながにひき、よりそっていました。
 あかとあおの、ちいさなさかなです。
「まあ、かわいそうに。ちがでているわ。」
 ルルーはむねがいたくなりました。いたくていたくてはりさけそうです。
 きがつけば、じぶんのきんのうろこをにまいはがし、にひきのきずにそっとあてていました。
 するとみるみる、にひきのけがはなおりました。
 きんのうろこには、いやしのちからがあったのです。
「ありがとうございます、ルルーさま。
 おれいに、わたしたちのうろこをさしあげます。」
 ルルーはにひきから、あかとあおのうろこをもらいました。それをうしなったうろこのぶぶんに、くっつけました。
 するとポカポカと、そのうろこからぬくもりをかんじました。いたかったむねも、もういたくありません。
 おもえばいたずらばかりしていたルルーにとって「ありがとう」といわれるのははじめてのことでした。
(わたし、もっとみんなのことをたすけたいわ。
 そのためならば、きんのうろこをうしなってもかまわない。)
 つよくルルーがそうねがうと、きんのうろこはひかり、なないろのひかりへかわりました。
 それはくにじゅうをおおうにじとなり、いやしのちからを、みんなにわけあたえたのです。
 きずついたにんぎょやさかなたちは、みるみるげんきになります。
 こわされたいえやおしろも、もどっていきます。
 おちてきたおおぶねももとのかたちにもどり、うみのうえへかえっていきました。
 ルルーのきんのうろこは、にじいろのとてもうつくしいうろこにかわっていました。
「ルルー。あなたはほんとうにすばらしいうろこを、みずからのちからでてにいれたのね。」
 ルルーをみつけたおきさきさまは、ルルーのあたまをなでてほめてくれました。けれどルルーは「いいえ、わたしのちからではございません。」とこたえます。
「これは、ともだちのちからです。
 ともだちがくれたやさしさが、わたしににじいろのうろこをあたえてくれたのです。」

 それからルルーは、まいにちべんきょうをがんばり、どりょくをしました。
 あおとあかのさかなたちと、からかったりなどせずなかよくあそびました。
 そうしてルルーは、りっぱなおひめさまにせいちょうしたのでした。
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