おやすみ前のメイド

文字数 664文字

坊ちゃん、今日も一日お疲れ様でございました。
お着替えを手伝いましょうか?
……ふふっ、もうわたくしの手伝いはいらないようですね。失礼いたしました。

そういえば坊ちゃん、今日は家庭教師のスカートにカエルを入れたと聞きましたが……。
やんちゃがすぎるようでございますね。

でも、元気なのが一番です。
だからと言って、勉強をサボる言い訳にはなりませんが。

あら? 寝る前のホットミルク、お気に召しませんでしたか?
はちみつはいつもと同じ分量なのに。
もしかして、どこかお加減でも?
……熱はないようですわね。

何事にも一生懸命になることは悪いことではございませんわ。
遊びでも、勉強でも。

ですが、体を壊してしまっては何も残りません。
坊ちゃんは最近いつも夜更かしされていたから……。

夜の読書のし過ぎは体に障りますわ。
寝る前はリラックスできると言っても、月が真上にくるまで読みふけってしまうなんて。
しかもブランケットも掛けず、上着も羽織らないで。

わたくしをあまり心配させないでくださいまし。
貴方様に仕えて、もう何年になりますでしょうか。

もし、本を読まれるということでしたら、わたくしがお読みいたしましょう。
坊ちゃんがいつも夜読まれるような専門書ではなく、簡単な童話を。
そうすれば、わたくしが貴方様の部屋を出る時間にはお休みくださるでしょう?

……もうそんな子供じみたことはしたくない、ですか。
少し寂しいような気もいたしますが、坊ちゃんがそれだけ大人になられたということですわね。

でも、貴方様の布団を肩まで掛ける役目だけはわたくしが……。

おやすみなさい、坊ちゃん。
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