閉じる
【チャット版】電柱の下
登場人物
ビューワー設定
目次
本編
文字数 435文字
「先生は魚の夢を見ますか?」
「魚になる夢かな?」
「いいえ」
塾の帰りに、雨が降ってたんです」
「住宅街まで歩いても止まなくて、足元ばかり見てたんです」
「電柱の灯りが点滅してました。その下にあれがいたんです」
「あれって?
魚
かい」
「はい」
「スーツを着た人がいるなと思ったんです。傘もささずに」
「おかしな人かもしれないから、顔をそらそうとしたんですが」
「雷が鳴って、周りが明るくなったんです」
「電柱にね」
「スーツの上に魚の顔があって、髪の毛も生えてるし、腕時計も・・・してたのに、魚なんです」
「それは」
「夢なんです」
「それから毎日毎日、夜道の電柱に、あれがいるんです」
「私の家に近づいてる」
「昨日は、私の家の前にいたんです」
「家の前にいたんだね。親御さんには」
「話しました。カーテンを開けて、いないって言うんです」
「でも見えるんだね?」
「はい」
「弱めの抗不安薬を出すね」
先生が言ってることはまだ聞き取れる。
でも、もうだめかもしれない。
先生の身体から海のにおいがするから
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)
★
いいね!
ファンレターを書く
【チャット版】電柱の下
鵜島みおり
作品お気に入り
本編
登場人物紹介
女子高生
塾帰りに見たものは…
いいね!
1
カウンセラー
いいね!
1
ビューワー設定
背景色
白
黒
生成り
水色