第1話

文字数 1,588文字

 キラ、キラキラ……
 そらのあちこちに、ひかりのつぶがみえます。
「かみひこーきがかえってきたわ。ガールズたい、せいれーつ!」
「はーい!」
 あおいふくに、しろいえぷろん。かごをさげた、おんなのこたちがならびます。リーダーが、はしっこのあかげのこにいいました。
「リル、テッドさんにしつれいのないようにね!」
「はい……」
 そこへまいおりてくる、たくさんのかみひこーき。おんなのこたちがかけだします。
「おかえりなさい。」
「ただいま。にもつをはこんどいてくれ。」
「わかりました!」
 はりきって、よごれたふくろをあずかるこ。
「おかえりなさい。あら、ほっぺにちが。」
「かすりきずさ。くすりをぬってくれよ。」
「はい!」
 いそいそと、かごからくすりをとりだすこ。
 みんなえがおで、おとこのこたちのせわをします。でもリルだけは、にこりともせず、いちばんりっぱなひこーきにちかづきました。
「テッド、きょうもだめだったのね。<ささやきのもり>もさがした?」
 リルのことばに、むっとするテッド。ボーイズたいのリーダーで、おさななじみ。ハンサムなかおをゆがめ、そっけなくこたえます。
「いや。あのもりにはまじょがいるから、ちかづけないんだ。」
「だったら、わたしにそうじゅうさせてよ。」
「だめ! かみひこーきにおんなのこはのせられない。なんどもいったろ。」
「おとこのこのかっこうをすればいいでしょ。むかし、わたしがこっそりそうじゅうをおしえてあげたこと、わすれてないよね?」
「それは……」

 こうして、そのよる、ついにかみひこーきにのりこんだリル。おとこのこのかっこうで、あざやかにひこーきをあやつります。よこでテッドが「すげえ……」
 そのときです。ちいさなかたまりが、もうスピードでとびこんできました。
「あぶない!」
 うまくさけて、ひこーきがいっかいてん。
「つかまえた!」と、テッドがさけびました。「まじょのてしたのいじわるどりだ。」
 テッドのあみにかかったのは、むらさきのとり。おおごえでわめきます。
「いたた。つばさをけがしたぞ。はなせ~」
「やだね。ゆびわはどこだ?」
「しるか。うう~」
 すると、リルはきのえだにひこーきをとめ、かごからくすりをとりだしました。
「きずをみせて。くすりをぬってあげる。」
 おどろくテッド。「なんでこんなやつに?」
「だってけがしてるもの。」
「たいせつなくすりがもったいないだろ!」
 こたえず、いじわるどりのつばさにくすりをぬり、ほうたいをまいたリル。
「あしたは、よくなるわ。」とにっこり。
 いじわるどり、リルをじっとみつめ、やみのなかへとんでいきました。

 ふたたびひこーきがとびたつと、ぶきみな<ささやきのもり>がみえてきました。
「まじょにぬすまれたおうさまのゆびわは、きっとあそこよ。」
 ひこーきがきゅうこうか。テッドが、リルのうでをつかみます。
「だめだ、リル。ちかづきすぎると、まほうのけむりが……あっ!」
 なんと、くろいもりのまんなかから、ぎんいろのひかりが……。あらわれたのは、みにくいまじょ。かたに、しろいほうたいをまいたとりをのせています。
「あっ、さっきの!」
 まじょが、リルにいいました。
「むすこをたすけてくれたそうじゃな。おれいに、さがしものをかえそう。」
 リルのてに、おうごんのゆびわがポトリ。
「ありがとう、まじょさん。」
 リルのえがおに、まじょもにっこり。「おまえみたいに、こころやさしいひこーきのりははじめてじゃ。これからもあそびにおいで。」
「はい!」
「ギャギャ~」
 いじわるどりも、うれしそうにこえをあげました。

 こうして、ぶじにゆびわをとりもどし、おうさまにほめられたテッドとリル。おんなのこのリルも、パイロットになれました。
「リル、<ささやきのもり>のそうじにいくぞ。」
「はい!」
 きょうもあおぞらに、たくさんのかみひこーきがとびたちました。
 

 
 
 



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