ラケット(9/2)

文字数 168文字

一度も握られたことのないラケットが
一度も弾かれたことのないギターと
壁に並んでいるのは
彼が幽霊部員だった証なのだが
ギターは担いで意味もなく今でも街を歩くのに
ラケットは十年以上壁にもたれ続けるだけで
どうしてソフトテニス部を選んだのか
思い出せないくらいに影が薄く
いつか弾いてみたいとは思うけど
いつか握ってみたいとは思わないから、不憫でならない
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