第１話

「サインした覚えないんだけど…」
アリスは大きなため息をついた。

どうやら私は建物を買ったらしい

夫に知られたらどうしよう、と悩んでいると義父母が部屋に入って来て、私に離婚届を投げつけてきた。

「家のこともできない上、金遣いも荒いなんて、今すぐ出ていけ！」

何も言い返せなかった。
妻として家を管理する立場であったが、帳簿の管理が全くできなかった。
その上、建物まで買ってしまった。

「すみません、すぐ出ていきます」

私物を鞄に詰め込み、夫の部屋へ向かった。

「ルキウス、いる？」

中からルキウスが出てきた。相変わらずかっこいい

「急だけど離婚しよう。私、建物を買っちゃったみたいで」

「なぜ？」

「なんでだろう、建物を買うなんてどうかしてるよね。建物のお金はちゃんと返すから、ごめんね。ここにサインして」

離婚届を差し出すと、すぐにサインをしてくれた。
こうして、私の結婚生活は終わった