第1話

文字数 1,374文字

【起】母親が病気で亡くなり、父の実家で暮らすことになった玲奈。実は父親は御曹司だった。祖父から由緒正しい家柄の子どもが通う私立中学である「マリア学園」に通い、その世界を学んで来いと言われる。マナーも何も理解してない玲奈は学校に入学しても、浮いてしまう。そんなあるとき、学園内を歩いていたら広すぎて迷ってしまう。途方に暮れていると一室から人の話し声が聞こえてきた。覗いてみると、たくさんのマネキンに服が着せられていて、そこにいる学生はメジャーを肩にかけ「丈があと数センチ必要だ」「ここにレースを付けたらどうだろうか」という会話をしていた。覗いていると「何をしているんだ」ときれいな顔立ちをした男子に声をかけられる。その男子に連れられ、部屋の中に入り、その世界観に魅了される。その男子は魁人と言い、この『服飾部』の部長であった。他の生徒からせっかくなら服を着てみないかと言われ、着てみると自分が全く違う存在になったかのように感じた。

【承】部員のメンバーと仲良くなり、『服飾部』に入部をすることを決める。クラスではまだ友達ができないが、『服飾部』での活動が楽しくて仕方なかった。しかし、クラスでは玲奈が『服飾部』に入ったことを妬ましく思っている生徒がいた。『服飾部』は毎年数人しか入部することができないと有名な部活だったのだ。陰で「なんであんなダサい子が入れたのかしら」「本当にありえないわよね」という声が聞こえてくる。最初は気丈にふるまっていた玲奈も、毎日のように陰口を言われクラスメイトから避けられるとストレスが溜まっていく。『服飾部』では全くそんな素振りを見せずにいたが、メンバーには気づかれていた。

【転】ある日魁人から「そんな言われっぱなしでいいのか?」と言われる。玲奈はでもこんな自分が何を言われても仕方がないのではないかと下を向いてしまう。そんな姿を見た魁人は玲奈に服飾部で作った服を着せ、髪をセットし化粧を施し、自信を持たせた。「お前は自信次第でこんなに変わることができるのだ」と。今月末にある文化祭に『服飾部』が参加するからそのモデルになって陰口言ってくるクラスメイトを見返してやろうと言われる。
玲奈は次の日から、『服飾部』にさらに入り浸り姿勢やランウェイの歩き方など勉強した。


【結】文化祭当日、緊張で手が震えていた玲奈に魁人が「あれだけ練習したんだ。お前なら大丈夫、信じているよ」と声をかけてもらい、自信を持てた。舞台の裏でランウェイの周りにクラスメイトが見ているのが分かった瞬間、陰口が思い出されて恐怖を感じたが、魁人が隣で手をつないでくれたおかげでいつも通り歩くことができた。ランウェイではたくさんの声が聞こえてきて嬉しくてしかたなかった。文化祭後、『服飾部』のメンバーから褒められ嬉しさがこみ上げていったとき、魁人から「よくやった」と頭を撫でられる。色々な感情から涙があふれ、魁人は何も言わず頭を撫で続けてくれた。
次の日教室に行くと、今までは話したことのなかったクラスメイトに声を掛けられる。「玲奈さん昨日すごいきれいだった。もしよかったら私と友達になってくれないかな」驚きもあったが、勇気を出してそんなことを言ってくれたのが嬉しくて「私こそ仲良くしてほしい」と頬を赤らめながら言った。その子と手をつなぎ、顔を見合わせ笑いあった。
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