La unua fojo 

文字数 442文字

壁に沿って歩けばすぐにひとまわりできると思っていたのだが、歩けど歩けど元の場所に行きつかない。子どもから大人の体に成長しても、まだ歩き続けている。そんなにも大きかったのか、わたしの心の壁は。最近では果てが知れないことが愉快にさえなった。隣には共に歩んでくれる伴侶までいるのだ。

* * * * *

蛇に呑まれた卵の私。小さな穴から見れば真っ暗。自分が何の生き物かもわからず、殻に守られただ生きている。殻を破り体を広げれば未来はそこでおしまいだ。身を縮めるしかない。大きな野心があったはずだが思い出せない。小さく、小さく。惨めさに私は泣く。温かい暗闇で私の体が少しずつ育つ。

* * * * *

貧相な魚に生まれてしまった。成長するに従い名前は変わるらしい。今生は名の為に生きようと決めた。しかしすぐに捕らえられ、身を粗雑に喰われている。私が出世してから殺せばお前の名も揚がるだろうに、莫迦な奴め。やむなく生まれ変わってやり直す所存。だが何やら前にもこんな事を考えたような。


kontinuas


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