ＡＩファイト！【プロット：２０２１／０７／２８／水……水木レナ】

　　　AIファイト！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【プロット：2021/07/28/水……水木レナ】


　この物語はSFバトルの世界をコメディタッチでお送りします。
　コンセプトは芸術的に美しい手作りのフィギュアでAIを育成しながら、華麗に競い合うというもの。
　狙いはそんな世界の中でもAIはただの道具じゃない、思い出の記録媒体であるということをせつなく読者の心に訴えます。


　＊メインキャスト
　・生田 蟋蟀（いくた こおろぎ・13歳・男）……成長期はまだだけれど頭脳と戦術知識には自信あり。戦うことがアイデンティティのAIファイター。通称コーロギ。
　・宇佐田 愛海（うさだ あみ・16歳・女）……知能は高いけれどAIファイトは全然知らない。思い出を取り戻すために、コーロギにバトルを申しこむ。

　＊補足説明
　この物語は少年少女の活躍する世界です。
　ここで扱うAIは、自動学習型人工知能で、人間の感情にも通じています。
　大小さまざまな分野においてAIが活躍し、子供たちは幼少期からそれらに触れて成長します。
　やがて、AI育成機関によるサポートを受けた学校や専門機関で、子供たちは遊びの分野にてAIを発達させてゆきます。
　ロボット競技とAIの融合した新しいAIフィギュアバトルというものが生まれ全世界で競技人口は広まって、現在ヒーローは世界でもトップのAIファイターとして、動画配信、グッズ販売を行っています。

　＊物語
　起/AIフィギュアバトルで荒稼ぎするコーロギの前に謎の挑戦者が現れた！　彼のプログラム理論をしのぐ強敵で、しかも相手のAIは最新式だった。
　だが、戦いはコーロギの圧勝。
　それもそのはず、相手はAIフィギュアの起動すらしていなかった。
　その最新式のAIは、幼馴染の愛海の進学した高校で導入されたばかりの教材であると突きとめたコーロギ。
　そんな間の抜けた素人は愛海に違いないと、コーロギは勝者の権利として受け取ったそのAIフィギュアをカスタマイズして愛海に届けた。
　あてつけだった。
　しかし、愛海は自分の方が才能があるのだから、情けは受けないとつっぱねた。
　コーロギの思った通り、謎の挑戦者は愛海だったのだ。

　承/愛海はその後、学校の教材を流用したAIフィギュアで次々勝ち上がり、再びコーロギの前に立ちはだかった。
　世界に配信するコスモAIファイト！　大会で一番を競い合う二人。
　勝利条件は相手の宝を奪うこと。
　コーロギは宝として愛海と組み立てた思い出のAIロボットおもちゃを登録した。
「コレガ、ホシカッタ！」
　愛海は勝利をおさめ、コーロギの宝を奪うとそのまま謎の失踪。
　コーロギの手元にあるロボットをなんとか自然な形で手に入れることが愛海の目的だった。

　転/コーロギが発見した時は、愛海は夜の海浜公園の遊具の中。
　そして、AIロボットの子守唄を聞きながら眠っていた。
　頬には泣いた跡。
　そのロボットには愛海の失恋の記憶が封じられていた。
　だが、彼女が隠しているつもりでもコーロギにはよくわかっていた。
　なぜなら、実はコーロギは愛海のことが好きで、よくその行動を見ていたからだった。
「昔っから、失恋すると愛海はオレのところへきたよな。このごろバトルざんまいでかまってやれなかったし。思い余ったんだな」
　愛海がそんなコーロギの気持ちを知らないままなのを、彼はちょっと申し訳なく思うのだった。

　結/励まそうとしたコーロギが、恋愛相談に特化したAIフィギュアを贈ると、愛海は激怒。
　ふたりは喧嘩する。
　そして恋多き日々を卒業した愛海は、コーロギに復讐するために彼の戦場に出てきたのだった。

　　　【完】