プロット

文字数 1,620文字



小学5年生には、「みらい体験」という新しい必須科目がある。将来の職業を、子供のころから適性をみきわめ、一人一人にあった仕事に就職してもらい、国を発展させようという新しいプログラムだ。
一人ずつ配られるタブレット端末を、枕の下に入れて寝ると、そこから発信される信号で、夢の中で疑似職業体験ができるというシステムだ。
目覚めたときに、適性がデータ化され蓄積されていく。5年生になると、6年生からタブレットを託されるのが通例だ。

「仕事は、トラブルがあっても力を合わせれば解決できるます」そんな言葉を添えられて受け取った。

主人公のまひるは、夢がたくさんあった。ケーキ屋、漫画家、アイドル、動物のお医者さん。
何が自分に向いているのか知りたくてワクワクとしていた。




月一回の授業で、ケーキ屋、保育園の先生と様々な体験をしていく。体験は夢の世界で1週間ほど。現実世界では、1時間しか進まない。まひるはどの仕事も楽しくて手応えを感じていた。すでに体験を終えた六年生たちは、
夢には途中退場スイッチがある。トラブルがあったときは、それを押せばすぐに接続が切れるシステムだ。
しかしある日、エラーが出て、夢から出られなくなってしまった。
辛うじて繋がった担任との通信では、夢から出るには、『仕事の知恵』が必要になると言う。
さらには、夢の中には自分たちそっくりなスライム人間が現れた。それに捕まると、夢の中で眠りについたまま起きなくなることがわかった。



夢の中に取り残されたクラスメイト達は、仕事の知恵を絞って夢からの脱出を試みる。

システムエンジニアはエラーを直そうとした。
格闘家は、スライム人間と戦った。
布団屋は、眠ってしまった仲間の為に布団を作った。
カウンセラーは、みんなの気持ちを落ち着かせた。
調理師はみんなの食事を用意した。
なぜか魔法使いという職種を選んだ友達のナナは、リラックス出来るという、香水をつくった。
そんな職種があったっけ?と首を傾げるが、システムエラーの方が大変で、その疑問はすぐに忘れてしまった。

カメラマンであったまひるは、出来ることがなくて、みんなの様子をカメラで記録していた。この記録を残しておけば、また同じようなエラーが出たときに役に立つし、現実世界へ戻れたときに、先生へ報告しやすいのではと思ったからだ。
しかし、クラスメイトに、真面目に働いて欲しいと怒られてしまう。
カメラではなく、他に役立つことをして欲しいと頼まれた。



まひるは、自分だけが遊んでいるように思われてショックだった。魔法使いのほうがよっぽどふざけているのに、なぜ怒られないのだろうと不公平に感じる。

何かできないかたくさん考えたが、今の職業で何が出来るのか思い浮かばない。
悔し涙を流しながら、今まで記録したビデオを見ていると、その中に脱出のヒントがあることに気がついた。
みんなが集まり、意見を言い合っているときだけ、魔法使いが作った香水が七色に光っているのだ。そして、香水が放つ光の向こうに、元の世界が見えた。
まひるはみんなにそれを伝える。
まひるのおかげでヒントが見つかったと、仕事を悪く言ったことをみんなは謝って感謝をした。

それからみんなは、香水のところに集まった。寝ている人も、全員が手を繋ぎ、最後にまひるが香水をもって輪になると、クラスメイトみんなが光につつまれた。

その時、クラスにはナナなんて友達がいないことを思い出す。ナナの姿は変形し、担任の先生になった。
この出来事はシステムエラーではなく、職業を生かしながらみんなが力を合わせられるかという、みらい体験夢マクラのテストだったのだ。
無事にクラスにもどった全員は、手を取り合って喜んだ。
5年生の間、1年を通して、毎月1回行われる体験夢マクラの授業は、12回目のテストで終わりとなる。
最後のテストは絶対に秘密で、次の4年生が進級したときに、ひとつ年上のまひるたちは受け継いだ言葉を添えて、次の5年生にタブレットを託した。



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