第1話

文字数 667文字

 私はすでに中年のおばさんであるが、よく
人から立派な顔立ちをして頭が良いでしょう
と自慢ではないが褒められる事が結構あった。
 しかし、実際はそうでもなく仕事中の恥ず
かしい経験が少なからずある。
 若い頃は、容姿を褒められると大変嬉しく
浮かれた事もあった。けれども今は聡明で、
味わい深い人と言われたくて、書物に親しみ
雑学の勉強をするように心掛けてはいる。
 最近よく感じる事は、子供時代にしっかり
学んだ事は、年齢を重ねても忘れないという
事で、掛け算などが良い例だと思う。
 私が今、後悔している事は地理をもっとし
っかり学んでおくべきだったという事である。
 その理由は、職業として接客販売が好きで
長い間デパート等で雑貨や食品などを担当し
てきてよくある事が、商品を配送する際にお
客様がお届け先を伝票に記入すると都道府県
を商略し、何々市と書かれると何県かわから
ず配送会社からの運賃表の送料の金額が調べ
られず慌てる事がある。
 お客様に「何県ですか?」と聞くのが恥ず
かしくなるこの時こそ、もっと地理の勉強を
しておくべきだったと悔やむ瞬間である。
 まわりに訪ねる同僚がいない時は、仕方な
く小声でお客様に「何県でしょう?」と聞くし
かないが、その時のお客様の「は?」と言う声
と表情に怯える自分の間抜けさに嫌悪感を抱
き今からでも生涯学習しなくてはとつくづく
感じるのではあるが、中々若い時代と違い覚
えにくく忘れ易くなっているのが現状である。
 ありがたくも、折角他人からよく見られる
ついでに、遅蒔きながら中身の方も常識のあ
る人間に成長していきたいものである。
〈完結〉









ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み