プロット

文字数 1,308文字

起) 中学生一年生の坂木真名は、引っ込み思案な性格からクラスに溶け込めず、不安な毎日を送っていた。ゴールデンウィーク前だというのに友だちもおらず、ひとりさみしく通学路を歩く真名。しかし人気のない路地裏に差しかかったとき、真名の前に白いタヌキが現われる。
真名を導くように歩きだす白タヌキ。その後を追いかけ、真名は人気のないさびれた神社にたどりつく。白タヌキは神社の片隅にある枯れ井戸に向かい、そのまま井戸に飛び込んで消えてしまう。おどろいた真名が井戸をのぞけば、井戸の底に光が差し込む。あまりの眩しさに顔を背ける真名。次に目を開けたとき、真名は見知らぬ駅のホームに突っ立っていた。

承) 暗がりの駅にひとりたたずむ真名。そこへ駅員を名乗る美少年ミヤシロと、しゃべる白タヌキのハクビがそろって現われる。困惑する真名は、ミヤシロからここがどういう場所なのかを教えてもらう。この駅は枯れ井戸の底にある、通称「枯れ井戸駅」で、利用するのは人間ではなく神様だという。なんとこの駅は、全国津々浦々の井戸と繋がっている、神々が利用する駅だった。駅に次々やってくる電車と神様たちに、興味津々の真名。現実に戻ったあとも、真名は授業が終わるたびに枯れ井戸駅にに通うようになる。「大角様」という角を生やした鬼神や「月の精霊」を名乗る手のひらサイズの神様、「灯火の使い」なる稲荷神など、利用者である神々と交流を深める真名。枯れ井戸を走る電車は、神だけではなく不思議な謎や事件も運んでくる。真名はミヤシロたちと一緒に、精霊の角の欠片を探したり、迷子の鬼火を引率したり、神様出題のパズルを解いたりと、退屈とは無縁の日々を送る。そうやって言葉を交わすうちに、真名は少しずつ前向きに明るくなっていく。

転) 真名が駅に通いはじめておよそ一ヶ月。いつも通りに枯れ井戸に向かえば、井戸の周りに不穏な空気が立ちこめていて、駅もどこかピリついていた。ミヤシロによれば災いを運ぶという厄神が電車を乗っ取り、こちらに向かっているという。真名はミヤシロやハクビ、井戸を通じて知り合った神々と共に、乗っ取られた電車を取りもどす手伝いをすることに。
ミヤシロの作戦通りに動く真名たち。「大角様」が線路に岩を置き、電車の通行を妨げる。そして電車が止まった隙に、真名とハクビは窓から忍びこんで乗客の救出に向かう。だが厄神の力はすさまじいものだった。真名とハクビが乗客を助け出した直後、厄神が怒りくるって暴れ出す。

結) 電車ごと駅を無茶苦茶に破壊する厄神。しかし、ミヤシロが間一髪のところで封印の術を使い、厄神を岩に封じこめた。ミヤシロは駅員のかたわら、駅と神様を守る陰陽師でもあった。無事、乗っ取り事件を解決させた真名は、相手を信じ協力しあうことの大切さに気づく。そして事件の翌日、真名は敬遠していた教室で、思い切ってクラスメイトに話しかける。思っていたよりもすんなりとクラスの輪に入ることができた真名は、その日の放課後も枯れ井戸に立ち寄った。枯れ井戸駅では、半壊したホームの掃除をするミヤシロとハクビがいた。真名はミヤシロたちにいつか恩返しすると心に決め、掃除の手伝いに走る。
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