第1話
文字数 1,109文字
瀕死状態の男の周りには、魔物が4匹いた。
それぞれが悲しげな表情で、男を見つめている。
魔物たちは首を横に振って、その場を動こうとしない。
辛そうに泣く男を見て、魔物たちが顔を見合わせる。
魔物たちは男の願いを聞き入れ、その場を離れる。
何度も、何度も後ろを振り向きながら。
とある人間の町。
そこでは夕方になってからやってくる人気の屋台があった。
屋台とは言っても、屋台の周りにもイスや机を並べているので、そこそこお客さんが入るようになっている。
屋台の店主は深めの器に麺を入れ、白濁したスープをそこへ投入し、海草やきのこ、柔らかく煮た肉の塊を切ったものを入れていく。
妖艶な女性がバシッとボーンの後頭部を叩く。
客のこの言葉に周りの客も耳をそばだてる。
サキュリは少年に腕を思いっきりつねられ、ひゃっとかわいい声を出す。
ドランはにっこり微笑んでいるように見えるが、目はまったく笑っていない。
客2
「ああ、頼むわ」
やりとりを聞いていた食事をしている人たちから笑い声が上がる。
これはおいしくてにぎやかなちょっと変わった屋台のお話。