第1話 この図鑑の使い方

文字数 416文字

紫明先生は金がない。
産まれた家にも金がなく、その後の人生ずうっと、金がない。
紫明先生はゲージュツを好む。
音楽、文学。
今やってる本業らしきことまで、ゲージュツだと宣う。
だから儲からない。
ゲージュツとは、金にならない物。
そういう意味で、彼の半生は確かにゲージュツかもしれない。
しかし、いや、だから、紫明先生はモーレツに働く。
ゲージュツとは、ゲンジツに立脚しているからである。
「生きてるだけで金がかかる」
都市に暮らした若い頃の、紫明先生の名言。
今は山里に暮らす先生、しかしそれは、どこへ行っても変わらなかった。
彼の一挙手一投足、いや、瞬きする度呼吸の度に、負債が増えて行く。
だから、紫明先生は、今日も働く。
紫明先生は学がない。
資格も技能もない。
だから凡そ最底辺の仕事ばかりしてきた。
とにかく現在進行系で働き続ける紫明先生。
それを、順序立てて紹介してもらおうと思う。
皆様の老後のアルバイト等のご参考になれば幸いだ。
では、先生、お願いします。
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