私の悲しい恋物語にゃー
文字数 1,924文字
一匹の猫と出会った。彼は、ただの黒猫だった。いわゆる野良猫。
私は人間にペットと呼ばれる白色の飼い猫。ミュウが名前。元々、子猫の時は捨て猫だった。ミュウミュウと鳴くだけのうるさい猫。
雨の日、私は幸運にも現在の飼い主に拾われた。兄弟達はダメだった。生き残ったのは私だけ。きっと、その時に拾われていなかったら、私も兄弟達と同じように冷たく動かなかっただろう。
一年後、年頃の乙女にすくすくと成長した。毎日、家の中から外を眺めている。
そんな退屈な日常に嫌気がさして、家を飛び出した。外には自分の知らないキラキラと輝く世界が広がっているハズだった。私は何も知らない世間知らずの猫。外には危険が沢山あるなんて知らない。夢みる白猫はいきなり大ピンチ。縄張りに踏み込んだ途端、野良猫に追いかけられた。必死に逃げたがダメだった。体力不足の身体が悲鳴をあげた。動きの止まった私は襲われた。
「キャー、いやぁー」
大声で叫んだ。たぶん誰も聞いていないだろう。聞こえたなら助けて欲しい。私に出来ることは泣き叫ぶことしかなかった。
こんなことになるのだったら、大人しく家にいれば良かった。
その時、ヒーローが現れた。偶然通りかかったのは、黒猫だった。
私は、後ろに隠れた。
「助けて下さい」
「・・・嫌だ。面倒くさい。自分でなんとかしろよ」
黒猫は偶然通りかかっただけだから、面倒なことに首を突っ込みたくない様子。
「そうだ。怪我をする前に早く立ち去った方が身のためだぞ!」
オスの野良猫が私に迫ってきた。
「誰もお前を助けるヤツなんて、ここにはいないんだよ。ギャハハ」
私は終わったと思った。涙が止まらない。
「・・・気が変わった。今回は俺が助けてやる」
「な、なにぃー」
黒猫は猫パンチと噛みつきで野良猫を撃退。
「ち、チキショー。覚えてろよー」
野良猫は捨て台詞を吐いて、走って逃げた。
「・・・やれやれ。はた迷惑なヤツだったな。じゃあな、気をつけて帰れよ」
黒猫は、この場所を去ろうとした。
「ありがとうございました。・・・ところで、ここはどの辺りなのでしょうか? 家に帰りたい・・・」
私は大声で泣いた。これには黒猫も困っていた。
「・・・チッ、仕方がないな。一緒に探してやるよ。早く泣き止め。うるさい!」
「・・・はい」
私は黒猫に付き添われて、逃げてきた方向を逆戻りしていた。外の世界は危険だらけ。輝く世界なんて無かった。私は二度と家から出ないと誓った。
歩き続け、家が見えた。
「ありがとうございました。私の家です」
「そうか、良かったな。じゃあな」
「ちょっと待ってください。お礼がしたいの」
私は庭にあるベンチへ誘った。
「一番のお気に入りの場所よ」
「ぽかぽかして気持ちいい場所だな。・・・じゃあな、俺は、もう行くよ。人間に見つかりたくないからな」
「・・・また会えるかな?」
「さあな・・・」
それだけを言うとサッと消えた。その黒猫に、そよ風のような心地よさを感じていた。
夕食を食べて、夜風にあたっていた。私はいったい、どうしたのだろう。彼のことを妙に意識をしてしまう。今まで、こんなことはなかったのに・・・。
これが恋というものだろうか? ・・・まさかね。
しばらく寝れそうにない。そもそも、彼が私のことをどう思っているのか、私には分からない。
あぁ、この満月が教えてくれるといいのに・・・。
そんな、ある日のことだった。彼はベンチで気持ち良さそうに寝ていた。
「・・・あのー」
彼は、のんびりと日向ぼっこをしていたのに、私が声をかけたから、あわてて立ち去ろうとした。塀の上に飛び移っていた。
「ちょっと、待って。何で立ち去ろうとするの? あなたと少し話がしたいのにダメなの?」
「いや、そんなことはないが・・・」
「じゃぁ、一緒にすわりましょう」
笑顔でベンチに飛び乗り座った。「ここよ」と言わんばかりにベンチを叩いた。
彼は面倒なことに巻き込まれたなと不機嫌そうな顔で、渋々ベンチに飛び乗った。
「この場所へと連れて帰ってくれた。それがどれ程、嬉しかったことか。感謝しているわ。ありがとう。あなたが、ここにくるのをズーッと待っていたの」
「そうか。俺は気にしていないからな。助けたのも気まぐれだ。じゃあな、もう会うことは無いだろう」
彼は風のような猫。ピョンと塀を飛び越えて消えた。
私の恋は突然終わってしまったのかもしれない。
その日からズーッと彼が現れるのを待っているが、それ以来、彼の姿を見ていない。
私は人間にペットと呼ばれる白色の飼い猫。ミュウが名前。元々、子猫の時は捨て猫だった。ミュウミュウと鳴くだけのうるさい猫。
雨の日、私は幸運にも現在の飼い主に拾われた。兄弟達はダメだった。生き残ったのは私だけ。きっと、その時に拾われていなかったら、私も兄弟達と同じように冷たく動かなかっただろう。
一年後、年頃の乙女にすくすくと成長した。毎日、家の中から外を眺めている。
そんな退屈な日常に嫌気がさして、家を飛び出した。外には自分の知らないキラキラと輝く世界が広がっているハズだった。私は何も知らない世間知らずの猫。外には危険が沢山あるなんて知らない。夢みる白猫はいきなり大ピンチ。縄張りに踏み込んだ途端、野良猫に追いかけられた。必死に逃げたがダメだった。体力不足の身体が悲鳴をあげた。動きの止まった私は襲われた。
「キャー、いやぁー」
大声で叫んだ。たぶん誰も聞いていないだろう。聞こえたなら助けて欲しい。私に出来ることは泣き叫ぶことしかなかった。
こんなことになるのだったら、大人しく家にいれば良かった。
その時、ヒーローが現れた。偶然通りかかったのは、黒猫だった。
私は、後ろに隠れた。
「助けて下さい」
「・・・嫌だ。面倒くさい。自分でなんとかしろよ」
黒猫は偶然通りかかっただけだから、面倒なことに首を突っ込みたくない様子。
「そうだ。怪我をする前に早く立ち去った方が身のためだぞ!」
オスの野良猫が私に迫ってきた。
「誰もお前を助けるヤツなんて、ここにはいないんだよ。ギャハハ」
私は終わったと思った。涙が止まらない。
「・・・気が変わった。今回は俺が助けてやる」
「な、なにぃー」
黒猫は猫パンチと噛みつきで野良猫を撃退。
「ち、チキショー。覚えてろよー」
野良猫は捨て台詞を吐いて、走って逃げた。
「・・・やれやれ。はた迷惑なヤツだったな。じゃあな、気をつけて帰れよ」
黒猫は、この場所を去ろうとした。
「ありがとうございました。・・・ところで、ここはどの辺りなのでしょうか? 家に帰りたい・・・」
私は大声で泣いた。これには黒猫も困っていた。
「・・・チッ、仕方がないな。一緒に探してやるよ。早く泣き止め。うるさい!」
「・・・はい」
私は黒猫に付き添われて、逃げてきた方向を逆戻りしていた。外の世界は危険だらけ。輝く世界なんて無かった。私は二度と家から出ないと誓った。
歩き続け、家が見えた。
「ありがとうございました。私の家です」
「そうか、良かったな。じゃあな」
「ちょっと待ってください。お礼がしたいの」
私は庭にあるベンチへ誘った。
「一番のお気に入りの場所よ」
「ぽかぽかして気持ちいい場所だな。・・・じゃあな、俺は、もう行くよ。人間に見つかりたくないからな」
「・・・また会えるかな?」
「さあな・・・」
それだけを言うとサッと消えた。その黒猫に、そよ風のような心地よさを感じていた。
夕食を食べて、夜風にあたっていた。私はいったい、どうしたのだろう。彼のことを妙に意識をしてしまう。今まで、こんなことはなかったのに・・・。
これが恋というものだろうか? ・・・まさかね。
しばらく寝れそうにない。そもそも、彼が私のことをどう思っているのか、私には分からない。
あぁ、この満月が教えてくれるといいのに・・・。
そんな、ある日のことだった。彼はベンチで気持ち良さそうに寝ていた。
「・・・あのー」
彼は、のんびりと日向ぼっこをしていたのに、私が声をかけたから、あわてて立ち去ろうとした。塀の上に飛び移っていた。
「ちょっと、待って。何で立ち去ろうとするの? あなたと少し話がしたいのにダメなの?」
「いや、そんなことはないが・・・」
「じゃぁ、一緒にすわりましょう」
笑顔でベンチに飛び乗り座った。「ここよ」と言わんばかりにベンチを叩いた。
彼は面倒なことに巻き込まれたなと不機嫌そうな顔で、渋々ベンチに飛び乗った。
「この場所へと連れて帰ってくれた。それがどれ程、嬉しかったことか。感謝しているわ。ありがとう。あなたが、ここにくるのをズーッと待っていたの」
「そうか。俺は気にしていないからな。助けたのも気まぐれだ。じゃあな、もう会うことは無いだろう」
彼は風のような猫。ピョンと塀を飛び越えて消えた。
私の恋は突然終わってしまったのかもしれない。
その日からズーッと彼が現れるのを待っているが、それ以来、彼の姿を見ていない。