第1話

文字数 1,596文字

 ゆりなちゃんは、ガチャガチャがすきです。
 まあるい、いれものにはいった、ガチャガチャ。
 なかみをみるときが、いちばん、しあわせなのです。
 きょうも、ゆりなちゃんは、ガチャガチャをみつけました。
 『ねがいを、かなえる、まねきねこ』
 そう、かいてあります。
 ゆりなちゃんは、さっそく、おかあさんに、おかねをもらいました。
 そして、ガチャガチャのまわすところを、くるり。
 おもたい、おとがして、ごろん。
 おおきな、まるい、ガチャガチャのたまが、でてきました。
 ゆりなちゃんは、あけてみました。
 なかから、ちいさな、まねきねこが、でてきました。
『ゆりなちゃん、ガチャガチャから、だしてくれて、ありがとう』
 まねきねこをみて、ゆりなちゃんは、がっかり。
 まねきねこのかおが、ゆりなちゃんにとって、かわいくなかったからです。
「こんなかわいくないの、いらないっ」
 ゆりなちゃんは、まねきねこを、おとしてしまいました。
『いたいっ。ゆりなちゃん、ひどい』
 まねきねこが、なきそうな、かおをしました。
 ゆりなちゃんは、おもいだしました。
 きょう、おなじように、なきそうなかおをした、ともだちが、いました。
 おともだちの、なおこちゃんでした。
 なおこちゃんは、おきにいりの、ぬいぐるみを、もってきていました。
 でも、ゆりなちゃんの、すきなかおでは、なかったのです。
「ゆりな、そのぬいぐるみ、きらーい」
 ゆりなちゃんがいうと、なおこちゃんは、かなしそうな、かおをしました。
 なおこちゃんの、かおが、ゆりなちゃんは、わすれられません。
 まねきねこが、いいました。
『ゆりなちゃん、なやんでいるね』
「おともだちと、けんかしちゃったの」
 なおこちゃんは、なきそうなかおで、ぬいぐるみをだきしめて、いったのです。
「もう、ゆりなちゃんとは、あそばない」
「わたしも、なおこちゃんとは、あそばない」
 そう、いってしまったのです。
 いってから、すごく、いやなきもちに、なりました。
 でも、じぶんから、あやまることは、もっと、いやでした。
『そっか。ゆりなちゃんは、おともだちと、なかなおり、したいんだね』
 まねきねこに、そういわれて、ゆりなちゃんは、うなずきました。
『そうときまれば、さっそく、おともだちの、おうちに、いこう』
 まねきねこは、とことこ、あるきはじめます。
 でも、すぐに、たちどまりました。そして、ゆりなちゃんをみました。
『おともだちの、おうち、どこにあるの?』
 ゆりなちゃんは、ためいきをつきました。
 まねきねこを、じぶんのてにもちます。
 めざすは、なおこちゃんの、おうちです。
 おかあさんに、きょうあったことを、はなしました。
 すると、おかあさんは、わらって、いいました。
「なかなおり、するのね。わかったわ」
 そして、くるまで、なおこちゃんのおうちまで、つれていってくれました。
 なおこちゃんのおうちに、つきました。
 でも、インターフォンをおす、ゆうきがなかなか、でません。
 すると、まねきねこが、ゆりなちゃんのてから、とびでました。
 そして、インターフォンを、からだで、おしました。
 こころのじゅんびが、まだ、できていません。
 ゆりなちゃんが、あわてていると、インターフォンから、こえが、しました。
『はい』
 なおこちゃんの、こえです。まねきねこが、いいます。
『ちゃんと、あやまらないと』
 ゆりなちゃんは、ゆうきをだして、いいました。
「なおこちゃん、きょうは、ごめんなさい」
 ゆりなちゃんは、なおこちゃんのたからものを、わるくいったことを、あやまりました。
「これからも、いっしょにあそんでほしいの」
「わたしも、ごめんね」
 なおこちゃんも、あやまってくれました。
 まねきねこは、ほんとうに、ゆりなちゃんのおねがいを、かなえてくれました。
 ふたりは、こんど、まねきねこのガチャガチャを、ひくやくそくを、しました。

 おわり
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